歌舞伎俳優で劇団前進座代表の中村梅之助(なかむら・うめのすけ、本名三井鐵男〈みつい・てつお〉)さんが18日、肺炎のため85歳で亡くなった。最後まで舞台への情熱を絶やさなかった。

 「今年の年賀状に、5月の前進座85周年の舞台に立つ熱い思いをつづっておりましたのに」。舞台やテレビで共演してきた長男で俳優の中村梅雀さんは20日、こうコメントした。

 梅雀さんは2007年10月、前進座を退団。当時の取材に対し、梅之助さんは「やめるやめないは自由。今後も梅雀を助けたり共演したりしていくつもり」と語った。梅雀さんはコメントで「私が劇団を辞めてからも度々共演のチャンスがあり、父も楽しみにしておりましたが、実現は出来ませんでした」と惜しんだ。

 前進座創立メンバーで名優の三代目中村翫(かん)右衛(え)門(もん)の長男に生まれた梅之助さん。「魚屋宗五郎」の宗五郎など庶民の世界を描く「世話物」に真骨頂を発揮した。その芸風はテレビ時代劇でも示され、「遠山の金さん」シリーズは鮮やかな印象を残した。

 元NHKアナウンサー、エッセイストの山川静夫さん(82)は「父の名優、翫右衛門さん譲りの粋な江戸っ子のせりふ回しがうまく、『遠山の金さん捕物帳』で花開いた。大衆的な人気もあった。何でもこなす器用な役者だっただけに惜しまれます」と話した。

 劇団葬は3月3日午前11時から東京都港区南青山2の33の20の青山葬儀所で。梅雀さんが喪主を務める。連絡先は前進座(0422・44・7680)。