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 第2次世界大戦中、ナチス・ドイツの迫害から多くのユダヤ人を救った外交官、杉原千畝(ちうね)が発給したビザの記載があるパスポートの全容が独協大学(草加市)の解読で明らかになった。一連の資料の「世界記憶遺産」登録をめざす関係者は、「命のビザの歴史的な意義が証拠づけられた」と、来年の登録へ期待感を高めている。

 独協大が解読に挑んだのは、ユダヤ系ポーランド人の公務員男性が所持していたパスポート。杉原の故郷、岐阜県八百津(やおつ)町からの依頼で、約70ページに及ぶパスポートの全ての内容を日本語に訳した。現物は遺族から寄贈を受けた同町が厳重保管しており、提供されたのは画像コピー。同大外国語学部の教授5人からなるチームが編成され、昨年3月から約1カ月かけて訳出した。

 パスポートには男性、妻、娘の家族3人の1935年から47年までの渡航歴が記されており、解読の結果、詳細な行動経路が明らかになった。ドイツのポーランド侵攻により母国を追われ、リトアニアに移住。そこで、当時同国領事代理だった杉原からビザの発給を受け、旧ソ連・ウラジオストク経由で福井県から日本に入国。さらにカナダに渡り、最後は米国のニューヨークにたどり着いた。

 「パスポートへの書き込みや認証は、確認されただけで10カ国語あった。まさに地球的規模の逃避行であり、杉原のビザ発給が命を永らえる最後のチャンスだったことがうかがえる」と、チーム代表の山路朝彦副学長(62)は話す。