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 24日投開票の沖縄県宜野湾市長選は終盤にさしかかった。同市が抱える最大の課題は米軍普天間飛行場の移設問題。安倍政権と協調する現職、翁長雄志(おながたけし)知事が支援する新顔ともに飛行場の「早期閉鎖」を訴える。一方で、日米が進める県内移設計画をめぐる思惑の違いもあり、論戦が深まっていないのが実情だ。

 20日夕、現職の佐喜真淳(さきまあつし)氏(51)=無所属=の応援に、自民党の小泉進次郎衆院議員が駆けつけた。小泉氏は「宜野湾には世界一危険と言われている基地がある」と述べ、返還実現への決意を語った。ただ、移設先とされる「名護市辺野古」には触れずじまい。小泉氏に先立ってマイクを握った佐喜真氏も「(飛行場の)フェンスを取っ払うのが市民の願い」だと訴えつつ、辺野古に言及しなかった。

 佐喜真氏は県議時代、辺野古移設を容認していたが、4年前に市長となってからは辺野古への言及を一貫して避けてきた。「宜野湾でも7割ぐらいは心情的に『辺野古反対』だろう」。自民系市議の一人は、背景に市民感情への配慮があると明かす。選挙戦での訴えの重心は、1期目の実績の強調に置かれている。

 陣営は選挙戦終盤に入り、「ここまで来たら政策うんぬんではない」(市議)。街頭演説を少なくして、企業や各種団体へのあいさつ回りを重点的に行っている。

 一方、新顔の志村恵一郎氏(63)=無所属=は、翁長知事とともに「辺野古反対」を主張する。連日10カ所以上で街頭演説を繰り返し、「5年以内の運用停止を政府に実行させる。辺野古の美しい海を埋め立てなくても済む」と訴える。

 ただ、陣営は「『辺野古』に触れる前に、まずは『普天間の運用停止』を」と、訴えの「順番」に神経をとがらせる。「いきなり『辺野古反対』だと、普天間飛行場を抱える市民には『固定化してもいいと言うのか』ととられかねない」(陣営幹部)からだ。

 「辺野古か否か」が明確な争点にならない中、現場からは「辺野古」の影が薄まりつつある。

 17日の告示後の報道各社の情勢調査は、両候補への支持が拮抗(きっこう)していると伝えた。志村氏の陣営では「『辺野古反対』が支持拡大につながっていないのでは」という危機感が広がる。翁長氏も演説で「沖縄の誇りと尊厳をかけた戦いだ」と繰り返し、「誇り」を強調するようになった。陣営幹部は「目指すのは、政府への反感を取り込んだ2年前の知事選の再現。『辺野古ノー』だけでは限界がある」と解説する。(吉田拓史、上遠野郷)