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 日本の台湾統治を検証した番組によって名誉を傷つけられたとして、出演した台湾人の女性がNHKに損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(大谷直人裁判長)は21日、NHKに約100万円の支払いを命じた二審・東京高裁判決を破棄し、女性の請求を棄却した。NHKの逆転勝訴が確定した。

 番組は、2009年4月に放送されたNHKスペシャル「アジアの“一等国”」。女性の父親を含む台湾の先住民たちが、1910年にロンドンで開かれた博覧会に連れて行かれ、「人間動物園」に展示された、などと報じた。

 13年11月の二審判決は、「人間動物園」という言葉を「人種差別的な意味合いに配慮せずに番組で何度も使った」とNHKを批判。女性への名誉毀損(きそん)にあたると認めた。

 これに対して第一小法廷は、番組を見た一般視聴者の受け止め方について、「日本が差別的な扱いをしたという事実を示した番組、と理解するのが通常だ」と指摘。「父親や娘が差別されるべきだと視聴者が受け止めるとは考えにくく、女性の名誉を傷つけていない」と判断した。

 この訴訟では、台湾人や日本の視聴者ら約1万人が「偏った内容の番組だ」としてNHKに約1億1千万円の損害賠償を求めて提訴。一審・東京地裁はすべての請求を棄却した。約40人が二審でも争い、女性1人だけが勝訴。この女性とNHKとの争いだけが残っていた。NHKは「主張が認められた正当な判決だ」とのコメントを発表した。(市川美亜子)