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 安倍晋三首相は22日午後、衆院本会議で施政方針演説を行った。今国会を「未来へ挑戦する国会」と位置付け、夏の参院選をにらんで政権の看板政策「1億総活躍社会」や環太平洋経済連携協定(TPP)への取り組みを前面に押し出した。持論の憲法改正について、「逃げることなく答えを」と強い口調で呼びかけた。

 首相は演説の冒頭、野党への牽制(けんせい)から切り出した。開国に揺れた幕末の幕臣・小栗上野介の「国を滅ぼすのは『どうにかなる』という一言だ」との言葉を引用し、「批判だけに明け暮れ、対案を示さず、後は『どうにかなる』。そういう態度は国民に対して誠に無責任だ」と指摘。「我々与党は、困難な課題にも果敢に挑戦する」と訴えた。

 参院選に向けた「争点つぶし」とも言える姿勢も打ち出した。今春にも取りまとめる「ニッポン1億総活躍プラン」では、民主党などが主張してきた「同一労働同一賃金」の実現に踏み込む考えを初めて表明。フレックスタイム制の拡充や、時間ではなく成果で評価する新しい労働制度の導入を提唱した。

 TPPでは、人口8億人、GDP(国内総生産)3千兆円を超える巨大経済圏が生まれるとし、日本にもGDP14兆円の押し上げ効果をもたらし、新規雇用80万人を生み出すと強調。農業や中小企業にも輸出のチャンスを作るとして「ピンチではなく大きなチャンス」と呼びかけた。

 外交では、昨年末に韓国と「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決」を確認した成果をあげ、「最も重要な隣国として新しい時代の協力関係を築く」とした。米軍普天間飛行場の辺野古移設についても「もはや先送りは許されない」と表明。5月の伊勢志摩サミットなどでリーダーシップを発揮する考えを示し、「日本が世界の中心で輝く1年となる」と述べた。

 憲法改正は、演説の最後に選挙制度改革と並べて「正々堂々と議論し、逃げることなく答えを出していく。その責任を果たしていこう」と踏み込んだ。

 演説に先立ち、政府は総額96兆7218億円の2016年度一般会計予算案を提出。規模は4年連続で過去最大を更新した。

 一方、野党は甘利明経済再生相の金銭授受疑惑の説明が不十分だと反発。施政方針演説とともに甘利氏の経済演説も行う衆院本会議の開会が1時間ずれ込み、同日午後2時開会となった。(横枕嘉泰)

■施政方針演説の骨子

●「ニッポン1億総活躍プラン」で、「同一労働同一賃金」の実現に踏み込む

●TPPは日本のGDPを14兆円押し上げ、80万人の新しい雇用を生み出す

●韓国は戦略的利益を共有する最も重要な隣国で、新時代の協力関係を築く

●沖縄の基地負担の軽減に全力で取り組む

●選挙制度改革と憲法改正について、逃げることなく答えを出す