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 中国政府が昨年廃止した「一人っ子政策」をめぐり、一人っ子を亡くした親たち約180人が昨年5月、「2人目の出産が認められなかったために、老後の介護などで子供から得られる利益を失った」などとして、国に補償を求めて一斉提訴していたことがわかった。一人っ子政策を実施した国の責任を問う集団訴訟は極めて異例だ。

 一人っ子(独生子女)を失った「失独家庭」は100万世帯に上るとされ、高齢化が進む。訴訟が他の請求運動や政府の支援策に影響する可能性がある。

 訴訟関係者によると、原告側は多額の罰金を科されるなどした一人っ子政策を守ったために第2子を産めず、精神的苦痛や、子供による介護が受けられなくなるといった損害を受けたと主張。「公共利益のために犠牲になった」として、1人当たり最高約60万元(約1080万円)前後の補償などを国に求めている。

 原告らはネット上で交流するなどして連携し、2010年ごろから最終的に3千人以上が政府に補償を求める陳情を展開。認められなかったことから、約180人が昨年5月に北京市第1中級人民法院に提訴した。

 同法院は訴えを受理せず、高裁に当たる高級人民法院も「国家の政策調整の範囲内で、裁判所が受理する案件ではない」などとする判断を示した。原告側は最高裁に当たる最高人民法院に不服申し立ての手続きをとっている。

 原告の一人で、中学校入学を控えた一人息子を亡くした遼寧省の50代男性は「息子の生前、第2子を中絶してあきらめた。我が子から老後の世話を受けられないのは、一人っ子政策のせいだ。国家や共産党に逆らうつもりはないが、できるだけ早く解決してほしい」と訴える。

 中国政府は昨年10月、1979年から続けていた一人っ子政策を廃止してすべての夫婦が2人を産めるようにすることを決め、今年1月1日から実施している。(瀋陽=平賀拓哉)

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 〈一人っ子政策〉 中国が昨年で廃止した、1組の夫婦に原則として子供1人しか認めない人口抑制政策。1979年から実施。違反者は罰金を科せられ、職場を解雇されることもあった。当局による強制堕胎は国際的に批判された。農村部住民や少数民族は例外が認められてきた。2011年までには全国で両親が一人っ子同士なら2人産めるようになり、14年からは両親のどちらかが一人っ子なら2人産めるようになるなど規制緩和されたが、「2人まで」という産児制限自体は現在も維持されている。