盛岡市で23日まで開かれていた全国高校総体スケート・アイスホッケー大会。フィギュアスケート会場に全選手の演技終了まで、じっと見つめる男性がいた。中京大の鈴木綱男さん(67)。スカウトとして、時に選手の相談役として、中京大中京高、中京大のフィギュアスケート部を支えてきた。3月末の定年退職を控え、女子の歴代最多を更新する中京大中京高の7連覇をまぶたに焼き付けた。

 フィギュア競技の学校対抗は、出場選手の順位をポイント換算して競う。中京大中京は松田悠良選手が優勝。大矢里佳選手は11位、谷口美菜選手は35位で計358点を獲得。愛知みずほ大瑞穂高を7点上回った。鈴木さんは「よくプレッシャーに打ち勝ってくれました。いい思い出ができました」とほおを緩める。

 フィギュアと鈴木さんが出会ったのは、校友会本部長だった2002年12月。梅村清弘理事長(現名誉総長)から頼まれた。「『(名古屋市千種区の)城山中にいる安藤美姫というスケート選手が4回転ジャンプを跳ぶそうだ。世界を目指す環境作りをしてやってほしい』と」。陸上やバレーボールの経験はあったが、フィギュアスケートはルールすら知らなかった。

 何とか安藤さんが入学する道筋をつけると、今度は安藤さんに続く選手を探すため全国を回った。小、中学生クラスの大会を中心に年間20~30。目を肥やすため、トップレベルの大会も見た。「秋から年が明けて春まで、家に帰るのは着替えを取りに行くだけの時もありました」と振り返る。

 ただ強いだけの選手は求めなかった。「大事なのは氷から上がった時。まずマナー。次に技術。最後にチャーミングかな」