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(24日、大相撲初場所千秋楽)

 「まだ信じられない。率直な気持ちです」。勝負から戻った琴奨菊に涙はなかった。目尻を下げた満面の笑み。「迷いなく前に出られた。その形があったから勝ちにつながった」。風呂に入り、はかまをはくと、ようやく正気に戻ったように言葉をつないだ。

 大一番も信じた相撲を貫いた。低く、速い立ち合い。すかさず左を差し、右を抱えて一気にがぶる。強烈な出足に俵際でのけ反った豪栄道を、最後は突き落として勝負を決めた。

 丸太のような左腕を相手の脇にねじ込み、突き上げるように体をぶつけて出る「がぶり寄り」。十八番(おはこ)の原点は、相撲好きだった亡き祖父が「基本の形を身につけろ」と教えたことだった。それを愚直に磨き、31歳で抱いた初賜杯(しはい)。「やっと、おじいちゃんに報告できる」。喜びをかみしめた。