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 蚊が媒介する感染症「ジカ熱」が中南米で拡大を続けている。感染者が最も多いブラジルでは先天的に頭部が小さい「小頭症」の新生児の報告件数が急増しており、妊娠中の女性がジカウイルスに感染したことが原因との見方が強まる。危機感を持つ各国は、妊娠中の女性に注意を呼びかけるとともに、予防対策に本腰を入れ始めた。

 「絶対に水をためたままにしておいてはいけない」。ブラジルのルセフ大統領は21日、小頭症の報告件数が最多の北東部ペルナンブコ州で、蚊の発生源をなくすよう呼びかけた。

 ブラジルは昨年から緊急事態を宣言。最終的な感染者は50万~150万人に達するとみている。蚊の発生源を減らすため、保健所と軍の担当者が2月末までに国内の全家庭を訪問する計画だ。

 ジカ熱と小頭症の因果関係はまだ立証されていないものの、ブラジル政府によると、小頭症報告件数は昨年10月以降だけで3893件。死亡した新生児や胎児からジカウイルスが検出されたほか、胎盤からもウイルスが見つかった事例があり、関連性が疑われる。

 感染者が2番目に多い隣国コロンビアでは、流行が落ち着くまで女性は妊娠を控えるよう政府が勧告を出した。ガビリア保健相は20日の会見で「個人の自由は尊重されるべきだが、(小頭症という)深刻な結果を招きかねない。6~8カ月間は妊娠を先送りすべきだ」と呼びかけた。これまで小頭症の報告はないが、今後は450~600人に上る可能性があるという。

 汎米(はんべい)保健機構(PAHO)によると、中南米・カリブ諸国でジカ熱の感染者が報告されているのは21カ国・地域。米国は妊娠中の女性にこうした国々への渡航を避けるよう勧告し、日本の外務省も旅行者らに注意を呼びかけている。(サンパウロ=田村剛)