【動画】福岡市や鹿児島の桜島の周辺でも雪が積もった=高橋伸竹、松井充撮影
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 この冬一番の強い寒気が日本列島に流れ込んだ影響で、先週末から西日本を中心に大雪になり、沖縄本島では観測史上初の雪(みぞれ)が観測された。エルニーニョ現象の影響で暖冬が予想されるなか、なぜ記録的大寒波が列島を襲ったのか。

 気象庁によると、大陸付近の偏西風が南に蛇行し、大気の流れが変わったことが今回の主因となった。北極付近に滞留していた強い寒気が南下し、雪を降らせる目安となる零下6度以下の寒気が沖縄の上空まで広がった。寒気は東シナ海で水蒸気を含んだため、九州でも大雪になった。

 米・東海岸に大雪を降らせている寒波も、偏西風の動きが関係している。偏西風が米・西海岸付近で北に蛇行し、北極付近の寒気を東海岸まで持ち込んだ。

 エルニーニョ現象が続く今冬、気象庁では東日本以西は冬型の気圧配置が長続きせず、暖冬傾向と予想していた。記録的な暖かさとなった昨年12月は、今回の寒気をもたらした偏西風とは別の、日本の南の上空を流れる偏西風が、日本の東で北に蛇行して暖かい空気を供給した。ただ、今回は北から南下した偏西風の勢力が勝っていたため、大寒波になった。

 この後、寒波をもたらした偏西風は東へと移動し、日本列島は30日ごろにかけて高気圧に覆われ、冬型が緩んで、気温も上昇する見込みだ。

 気象庁は25日、2~4月の3カ月間の天気予報を発表。日本付近はエルニーニョ現象の影響で平均気温は平年より高く、春の訪れは早くなる見通しだ。(鈴木逸弘)

■九州・山口、最低記録更新続く

 記録的な大雪をもたらした寒波の影響で、九州・山口は25日も厳しい冷え込みが続き、観測史上最低気温の更新が相次いだ。各地でスリップ事故などがあり、200人以上が負傷。交通の乱れや通行止めも続き、熊本県八代市では6集落が孤立状態となった。

 気象庁によると、25日早朝に鹿児島県伊佐市で零下15・2度、宮崎県えびの市で同12・0度、福岡県朝倉市で同8・3度、長崎県島原市で同6・2度など、観測史上最低気温を観測。降雪は峠を越えたが、午後6時現在、長崎市で7センチ、山口、鹿児島両市で4センチの積雪が観測されている。

 この影響で熊本県八代市泉町では25日夕現在、6集落の計67世帯、131人が孤立状態になっている。積雪で周辺の道路が通れなくなったためで、住民の体調不良やライフラインの支障などの報告はないという。

 交通の乱れも続き、JR九州によると、長崎線や肥薩線、大村線などの一部区間で25日の始発から運転を見合わせた。西日本高速道路によると、九州自動車道、南九州自動車道などの複数区間で通行止めとなっており、九州北部と鹿児島の高速網はほぼまひ状態が続いた。空の便も九州各地と羽田などを結ぶ一部の便が欠航した。

 道路の凍結による事故や転倒も相次ぎ、各県などによると、少なくとも約240人が重軽傷を負った。

 今回の寒波では24日、鹿児島県奄美市で1901年以来115年ぶりの降雪を確認したほか、沖縄県名護市でも沖縄本島では観測史上初となる降雪が観測されるなど、記録的な現象が相次いだ。

 日本気象協会によると、北極圏で寒気の蓄積と放出が交互に現れる現象「北極振動」が、今回の大雪に影響した。今月から放出期に入り、日本付近では西回りに寒気が流れ込んだため、西日本で大雪となった。福岡管区気象台によると、寒気のピークは過ぎたが、26日朝にかけて、九州北部の多いところでは5~10センチの積雪が見込まれるという。

■今回の寒波と大雪による九州・山口・沖縄の主な記録

・長崎市で24日、観測史上最多の17センチの積雪

・鹿児島県の奄美大島で24日、1901年以来115年ぶりの降雪

・沖縄県名護市で24日、沖縄本島では観測史上初の降雪を観測

・鹿児島県伊佐市で25日、観測史上最低の零下15.2度を記録。この日だけで41カ所で観測史上最低を更新