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 京都大の山中伸弥教授は25日、iPS細胞を使った世界初の移植手術から1年以上が過ぎても2例目が実施されていないことについて、細胞の安全性評価の基準があいまいなことなどを挙げ、「必要ないったん停止だ」との見解を示した。都内であった日本医療研究開発機構(AMED)のシンポジウムで発言した。

 理化学研究所などのチームが2014年9月、目の難病者にiPS細胞から作った細胞を移植する手術を実施。山中教授は細胞の安全性評価を担当した。当初計6人の患者に移植する計画だったが、2人目の患者のiPS細胞で、遺伝子の一部に変異などが見つかって手術を見送った。

 変異はがん化との関係がはっきりしなかったが、山中教授は、安全性を評価する基準があいまいで厳しい評価をせざるを得なかったことや再生医療の臨床研究をめぐる法制度が変わって研究の再申請が必要になったことを挙げ、「いったん立ち止まらざるをえなかった」と説明した。今年中には臨床研究を再開させたい意向を示した。

 また、iPS細胞の医療応用には研究者が行う臨床研究や、製造販売を目指した治験など複数の選択肢があることを挙げ、「一番早く、安全なものを臨機応変に選んで臨床応用を考えるべきだ」と語った。(合田禄)