フィリピンを訪問中の天皇、皇后両陛下は29日、ルソン島中部のカリラヤを訪れ、日本人戦没者を悼む「比島戦没者の碑」に供花した。太平洋戦争で日米の激戦地となったフィリピンでは、約52万人の日本人が亡くなった。両陛下はかねて国内外の戦没者に心を寄せ、今回はお二人の強い希望を受けた慰霊となった。

 両陛下はこの日午前、マニラからヘリでカリラヤに入った。日本から駆けつけた約150人の元日本兵や遺族らが見守るなか、慰霊碑の前へ。そろって一礼した後、日本から運んだ白菊の花をたむけ、遺族らとともに頭を下げた。予定にはなかったが、続いて遺族らに歩み寄り、一人一人に「ご苦労さま」「お元気で」などと声をかけた。

 「比島戦没者の碑」は1973年に日本政府が建立した。碑は両端が曲がった形で、厚生労働省によると「戦没者を懐に迎え入れることを意味する」という。多くの遺族がここを訪れ、戦没者を追悼してきた。

 両陛下は戦後50年に沖縄、長崎、広島、60年にサイパン、70年にはパラオと、節目に国内外で慰霊を続けてきた。フィリピンでの慰霊は「戦後70年を過ぎても戦没者に心を寄せようというお気持ちの表れ」(宮内庁幹部)といえる。

 「フィリピン各地で戦没した私どもの同胞の霊を弔う碑に詣でます」。26日に羽田空港を出発する前、天皇陛下はそう語った。現地入りした後の27日には、フィリピン側の「無名戦士の墓」を訪れて拝礼した。