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 昨年1年間の特殊詐欺の被害は約476億8千万円で、3年連続で400億円を超えたが、前年よりも約88億7千万円(15・7%)減った。前年を下回ったのは6年ぶり。一方、警察が認知した件数(未遂を含む)は前年比436件(3・3%)増の1万3828件で、5年連続で増えた。警察庁が28日に発表した。

 警察庁によると、認知件数が増えたのに被害額が減った一番の要因は、一度に多額の現金を宅配便などで送らせる「送付型」の被害が激減したこと。昨年は約147億円で、前年より69億7千万円(32・1%)減った。特殊詐欺全体の減少分の約8割を占めた。

 警察庁は、宅配業者や荷受けをするコンビニ店員が客への声かけを徹底し、警察も送り先で現金を受け取る「受け子」の摘発を強化したことが奏功したとみている。

 被害者を世代別で見ると、約8割が60歳以上の高齢者だった。70歳以上の女性が全体の過半数を占め、70歳以上の男性(15・2%)、60代の女性(9・9%)、60代の男性(4・2%)が続いた。

 警察庁が、高齢者の被害が特に多く「重点3類型」と位置づけている「オレオレ詐欺」「還付金詐欺」「金融商品詐欺」の被害は計約346億6千万円だった。前年から約50億6千万円(12・7%)減ったが、特殊詐欺全体の被害の7割を占める状況は改善されていない。

 都道府県別では首都圏の埼玉、千葉、東京、神奈川の被害が大幅に減り、大阪、岡山、福岡といった主に西日本の大都市の被害が増えた。首都圏の警察は捜査態勢を強化し、拠点などの摘発を続けてきた。警察庁は、犯人側が捕まらないよう、その他の大都市に狙いを広げたとみている。

 警察が逮捕・書類送検した容疑者は前年比567人(28・6%)増の2552人で、過去最多だった。3割が暴力団関係者だった。

 警察庁の担当者は「被害は依然として厳しい。対策を続けていく」と話す。(八木拓郎)