東芝は27日、不正会計問題で会社に損害を与えたとして、歴代3社長を含む旧経営陣5人に対して起こした損害賠償訴訟の請求額を29億円増やして計32億円にした、と発表した。

 請求額の増額は同日、東京地裁に申し立てた。金融商品取引法違反(有価証券報告書などの虚偽記載)があったとして金融庁から昨年末に納付命令を受け、同日付で財務省に支払った課徴金73億7350万円と、決算の訂正で会計監査人に支払った報酬約20億7150万円を損害と認定。旧経営陣5人と因果関係が認められる額として、29億円を追加で請求した。

 昨年11月に提訴した時点では、上場契約違約金などの支払いによる損害10億円超をもとに、3億円を請求していた。

 損害賠償を請求されたのは西田厚聡(あつとし)、佐々木則夫の両元社長、田中久雄・前社長、いずれも当時最高財務責任者(CFO)だった村岡富美雄、久保誠の両元副社長の5人。インフラ工事で損失引当金などを適切な年度に計上していなかった事案3件と、パソコンとテレビの取引による利益水増しの計5件で注意を怠った責任があるとし、課徴金に占める損害として計26億円、会計監査人に払った報酬の損害として計3億円を追加で請求した。

 旧経営陣の5人は、東京地裁で21日にあった第1回口頭弁論で全面的に争う姿勢を示したが、27日に記者会見した社外取締役で監査委員の古田佑紀氏は「立証は十分にできる」と話した。

 東芝はこれとは別に、株価の下落で損害を受けたと訴える個人株主約100人から約5億円の損害賠償を求める訴訟を起こされており、訴訟の行方次第で損害が増える可能性がある。旧経営陣5人に対する損害賠償請求について、古田氏は「(会社に)新たな損害が発生すれば、増額を検討する」と話した。(南日慶子)