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 トヨタ自動車が、苦手分野のてこ入れをねらう「次の一手」が浮上した。新興国市場に強いスズキとの幅広い提携を検討する一方、小型車を得意とするダイハツ工業を完全子会社化する方向だ。ただ、スズキとは正式な協議に入る前の段階で、思惑通りに提携が実現するかは予断を許さない。

 「信じられないなぁ……」。27日朝、「トヨタとスズキが提携交渉入り」との一部報道に対し、あるトヨタ役員は驚きを隠さなかった。両社は早速、「交渉の事実はない」などと否定するコメントを出した。

 だが、別のトヨタ関係者は「検討はしている」と明かす。もともとトヨタは、エコカーや安全関連の技術などで、他社と個別にさまざまな提携を結んでいる。ただ、スズキとの提携については、「個別技術でなく、広い分野。日本の自動車業界全体を考えて検討している」という。

 トヨタ側は、先行するハイブリッド車や、燃料電池車、自動運転などの次世代技術に加え、スズキがトップシェアを握るインドでの販売・開発の協業、コスト削減につながる部品の共通化などを模索しているとみられる。

 トヨタとスズキはともに創業一族がトップを務め、しかも創業者は、静岡県西部の遠州出身で伝統的につながりがある。1970年代には、排ガス規制の強化に対応できなくなったスズキの鈴木修氏(現会長)がトヨタの豊田英二氏(元社長、故人)に頼み込んでエンジンを供給してもらったことは、今も語りぐさだ。

■低価格車の開発進まず

 トヨタとスズキは15年9月中間決算で、ともに過去最高益を更新した。業績が好調な中、あえて提携を検討するのは、両社とも今後に不安を抱えるからだ。

 15年まで4年連続でグループの世界販売台数で首位を走るトヨタだが、弱点は新興国だ。とりわけインドは苦戦続きで、調査会社フォーインによると、14年のシェアは4%にとどまる。幹部は「故障が少ないことが売りのトヨタは、世界のどこでも品質を落とせず、価格が高くなる」と話す。

 巻き返しのため、小型車を得意…

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