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 陸上自衛隊が2002~04年、イラク派遣に反対する運動をしていた人たちを監視し、個人情報を集めていたのは違法だとして、東北6県の91人が損害賠償を国に求めた訴訟の控訴審判決が2日、仙台高裁であった。古久保正人裁判長は、一審・仙台地裁判決の一部を取り消し、原告1人についての情報収集の違法性を認めた。情報収集の差し止めは一審に続いて却下した。原告は上告する方針。

 高裁判決は、原告1人については「公になっていない本名や職業を陸自に調べられた」として、プライバシーの侵害を認め、10万円の賠償を国に命じた。一方、一審判決で賠償が認められた5人のうち、地方議員ら4人の請求については「所属政党など第三者に知られることを前提とした情報で、収集は違法ではない」と述べ、棄却した。

 きっかけは、共産党が自衛隊関係者から入手したとして、07年に公開した内部文書。東北6県で行われたイラク派遣に反対する集会やデモ行進、署名活動について、参加者や所属政党などの個人情報が書かれていた。文書の作成者とみられる役職者は「東北方面情報保全隊長」とあった。

 文書に個人情報を書かれていた人たちは07年10月に提訴。12年3月の一審判決は、当時の原告107人のうち、所属政党など思想、信条に直結する情報を記載された5人について5万~10万円ずつ、総額30万円の賠償を国に命じた。差し止めについては、「対象を特定しておらず不適法」として訴えを却下していた。

 控訴審では、陸自の当時の情報保全隊長が証人として出廷。「外部からの働きかけがあると任務が妨害され、実力が発揮できない。隊員や家族の混乱を防ぐためにも情報収集が必要だ」と証言した。「一般論」として、スーパーの前で反戦平和の歌を歌うことや、核兵器廃絶の署名活動などの行為が「外部からの働きかけ」になりうると述べた。(山田雄介)