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 関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)が29日夕、再稼働する。原発の前では、降りしきる雨の中、集まった市民らが抗議の声をあげた。一方、原発の危険性と恩恵の両方を抱える地元住民らは複雑な思いを語った。

■「街潤うが…」住民は複雑

 再稼働を控えた朝。高浜町の中心部から原発へ向かう県道は、通勤者の車やバスが連なった。約2キロ手前で県警の検問があり、道沿いには赤いコーンが置かれ、数百メートルごとにパトカーが並ぶ厳戒態勢だった。

 「再稼働止めるぞ!」

 午前8時半、原発近くの展望台で再稼働に反対する約30人の市民らがのぼりを掲げて声をあげた。原発の入り口前に移動し、門の前に並んだ数十人の警察官や警備員らの前で「再稼働反対」と繰り返した。

 千葉市から参加した小川正治(よしはる)さん(70)はかつて石油化学プラントの技術者だった。東京電力福島第一原発の事故では、大きなショックを受けた。「どれだけ安全性を高めても福島のように『絶対な安全』はなく、事故が起きれば悲惨な状況になる。反対しなければいけない」

 市民団体「若狭の原発を考える会」代表で京都工芸繊維大名誉教授の木原壮林さん(72)は、地元でビラ配りなどを続ける中、活動が理解されてきたと感じている。「高浜原発で事故があれば京都などもふるさとを失う。このまま再稼働を許していけば、老朽化した原発の利用や新設も進んでしまうかもしれない。闘い続けないと」と話す。

 一方、地元住民の思いは複雑だ。菓子製造業の高橋良和さん(68)は高浜町で生まれ育ち、原発で潤う街を見てきた。「事故が起こることを考えると危険だと思う。でも仕方ないね」と声を落とす。「電力はどうしても必要。安全だと思い込んで、納得するようにしています」

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