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 フリージャーナリストの後藤健二さんが、シリアで過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害されたのが明らかになって2月1日で1年になる。事件を教訓に、紛争地取材の安全をいかに確保していくか。後藤さんを追悼するジャーナリストらの議論や取り組みが国内外で進んでいる。

 「あの事件が何だったのか、検証する時期に来ている」。今月15日に都内であった「ジャーナリストはなぜ『戦場』へ行くのか」と題したシンポジウム。司会役のフリージャーナリスト、土井敏邦さんが切り出した。

 パレスチナなどで30年近くの取材経験がある土井さんは「後藤さんを英雄視する報道ばかりで、なぜ起きてしまったのか検証が不十分では」と懸念する。案内人選び、経路や日程に問題は無かったか――。「我々が調査し、各自の経験を持ち寄って得た知見をジャーナリズム全体にフィードバックする仕組みが必要だ」

 危険地で取材する記者が「標的にされるようになった」ことは、国内のフリージャーナリストたちに衝撃を与えた。イラク戦争が始まった2003年以降、殺害された日本人記者は、後藤さんが6人目となる。

 ISが「首都」と称するシリア・ラッカで取材した経験がある報道カメラマンの横田徹さんは「後藤さんの事件以来、慎重になった。無意味に最前線には行かない」と打ち明ける。昨年も、イラク北部のクルド自治区に入り、ISと戦うクルド人の部隊に従軍したが、コーディネーター選びなどは特に気をつけた。信頼する知人からの紹介のみ。報酬も値切ったりせず、納得した上できちんと払う。「拘束された後藤さんの映像を、いつも頭の中に入れておくようにしている」という。