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 29日午後5時20分ごろ、長野県松本市の県道などが倒木で通行止めとなり、同市や隣接する山形村の宿泊客ら約320人が一時、孤立した。松本市の宿泊客らは30日夜までに下山し、けが人もなかったが、山形村では同日夜も30人が取り残されている。

 大量の倒木は、雨が冷えて木に凍り付く「雨氷」の重みで枝が折れたり、木が倒れたりしたのが原因とみられる。

 松本市の30日午後6時現在のまとめによると、一時孤立したのは、旅館「扉温泉明神館」と日帰り温泉施設「桧(ひのき)の湯」の利用客や従業員ら計128人、約10キロ離れた美ケ原高原王ケ頭ホテルの利用客ら計118人と、三城地区の住民ら46人。山形村でも村道が不通となり宿泊施設の客ら計30人が孤立した。

 市危機管理部によると、市内のいずれの施設、住戸でも29日夜から停電が発生。明神館では暖房が止まり、まきストーブ1台で暖を取った。30日朝から倒木撤去が始まり、明神館と桧の湯の客らは午後2時から下山を始めた。

 長野地方気象台によると、29日午後5時の松本市の気温は1・3度。気象台は「低気圧の影響で湿った雪が降ったが、29日夜まで市街地の気温はあまり低くなかった。重い雪が木の枝にへばりついた可能性はある」と話している。

■下山の宿泊客、ろうそくとスマホの明かりで一夜

 長野県松本市入山辺の「明神館」に滞在していた宿泊客ら約100人は30日午後2時過ぎ、倒木の横たわる雪道を歩いて下山を始めた。家族ら4人で明神館に1泊した同県岡谷市の青島利明さん(71)は、旅館が停電になったため、ろうそくの明かりで夜を明かした。暖房もつかず、部屋の布団にくるまっていたという。「寒くて疲れたが、キャンプをよくやっているから、不安はそれほどなかった」

 旅館側は夕食後、ロビーの暖炉の周りに集まった宿泊客に温かい飲み物やウイスキーなどを提供。横浜市磯子区の会社員飯野淳さん(43)は、ロビーでほかの客と話をしながら一夜を過ごした。旅館内ではスマホの明かりを頼りに移動し、「一度も温泉に入ることはできなかった」という。