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 認知症が進むと、本人は苦しみ、家族の負担も大きくなる。病院などを利用し、「大変な時期」を乗り切る人たちもいる。

 石川県内でひとり暮らしをする大森せつ子さん(77)は2013年春、夜中に自宅で木魚をたたき、大声でお経をあげるようになった。近所の友人が訪ねても、独り言を続けた。ある日、夕方まで行方がわからなくなった。当時のことを「男の人が自動車で追っかけてきたので、竹やぶの中を走って逃げた」と話す。

 近くの店で保護された後、県立高松病院の精神科に行くことになった。病院は県から「認知症疾患医療センター」に指定され、精神科が認知症の診療や相談に応じている。精神科の400床のうち約150床が認知症対応の病床だ。

 大森さんは実在しないものが見えるなどの症状があり、レビー小体(しょうたい)型認知症と診断された。6月に入院して薬を飲み始めると、1カ月ほどで症状はおさまった。日中は、作業療法室で手織り作業をしたり、中庭の畑で野菜づくりをしたりして過ごした。

 11月に退院。14年1月に転んで腰を骨折するなどし、再び入院した。調理の訓練で鍋を2回焦がした。ほかの作業に気をとられるとコンロにかけていることを忘れてしまう。自宅で暮らすには、家事などの介護を受ける必要があることを理解した。スタッフが手続きを進めてくれた。

 退院から約1年半たった今、大森さんは介護施設のデイサービスに週4日通い、残り3日は近所の人たちが自宅に来てくれ、一緒に食事などをしている。地域に古くから伝わる助け合いだ。通院は月1回、病院からは看護師が月1回、自宅へやってくる。「家はいいね。みんなが助けてくれるおかげ。うれしいなあ」。大森さんは笑う。

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