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 漫画「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られ、昨年11月30日に93歳で死去した漫画家の水木しげるさんの「お別れの会」が31日、東京都港区の青山葬儀所であった。親交のあった著名人やファンら約8千人が参列し、巨匠の死を悼んだ。

 祭壇には花で丸い輪が作られ、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童(かっぱ)の三平」などのパネルを背景に、ほほえむ水木さんの遺影が飾られた。祭壇をデザインし、司会を務めた作家の京極夏彦さんは「水木しげるの世界で、此岸(しがん)と彼岸は地続き。先生は愛すべきキャラクターたちと輪の向こう側にいらっしゃる。しかし今、輪は開いている。私たちの思いが、向こう側に伝わりますように」と願った。

 発起人代表の作家の荒俣宏さんは、「絶滅しかけていた妖怪を現代によみがえらせたことは最大の功績。ご本人にとって学歴などはどうでもよく、唯一の問題は戦争で左手を失ったことだったが、水木さんほどポジティブに戦争体験を語られる方を知らない」と型破りな人柄を懐かしんだ。

 妻で喪主の武良(むら)布枝さんは、記者たちの取材に、「遺影は普段着が自然体でいいと思ったのですが、今日、大きな祭壇を見て、ちゃんとした服装の写真もあったのに、と反省しています」とユーモアをにじませた。

 「水木さんの妻としての人生を振り返ってどうか」と問われると、「楽しかった。赤貧も何も、いい思い出。飢え死にするようなことはなかったですから。まもなく私もついていきますから、あの世でも手を取り合ってよろしくお願いします。楽しみにしています。今は夢でも会えなくて」と寂しい心情も吐露した。

 一般の弔問客には、若者や子ども連れの姿が目立った。千葉県船橋市の5歳の浜崎晃己(こうき)君は、母親・富美代さん(35)が作った黄色と黒のちゃんちゃんこを着て、祖母と3世代で参列。祭壇の前で「鬼太郎、大好き」と告げたという。

 富美代さんによると、晃己君はアニメ「妖怪ウォッチ」で妖怪に興味を持ち、父親(45)の薦めで鬼太郎のビデオを見て、のめり込んだという。「お父さんが見てた昔の鬼太郎がいい。昨日、画用紙でぬりかべを作った。ねこむすめが好き」と熱っぽく語った。

 水木さんの出身地・鳥取県境港市の水木しげる記念館前でもこの日、地元の人たちが花を捧げた。(寺下真理加)