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 健康な女性が数年前に大阪市内のクリニックで自分の卵子を凍結し、その後女児を出産していたことがわかった。がん患者が治療前にあらかじめ卵子を凍結し、出産した例などはあるが、健康な女性のケースは極めて珍しいという。

 健康な女性が仕事など社会的な理由で、卵子を凍結して将来の出産に備えることに対し、日本産科婦人科学会(日産婦)の委員会は昨年、「推奨しない」との報告をまとめている。採卵で体に負担をかけることや、妊娠、出産が保証できないことなどが理由だ。

 卵子の凍結と体外受精を担った大阪市のオーク住吉産婦人科によると、出産した女性は44歳の看護師。独身だった41歳の時に仕事の多忙などを理由に、卵子を凍結。2年前に結婚し、この卵子を使った体外受精で妊娠、昨年5月に女児を出産した。

 同クリニックでは、健康な女性の卵子凍結は2010年から開始。昨年末までに計229人の卵子を凍結保存し、17人で体外受精を実施。出産できたのは、この女性だけだった。費用は全額自己負担で、今回の女性は数百万円かかったという。担当した船曳(ふなびき)美也子医師は「積極的に勧めるわけではないが、卵子凍結は女性の意思を尊重する一つの選択肢。今後も活用を広めたい」と話している。

 日産婦の苛原(いらはら)稔常務理事は「凍結しても、本人の加齢による妊娠率の低下やリスクもある。医療機関としっかり話し合い、よく考えてほしい」と話している。(石倉徹也、野中良祐)