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 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の会場となる三重県志摩市の賢島(かしこじま)。陸地との接点が少なく陸上警備には有利な立地とされる。ただ、島々約60、死角も多い入り組んだ地形の英虞(あご)湾にあり、海上警備は一転、困難を極める。本番まで16日で100日。緊張感が漂い始めた英虞湾を訪れた。

 湾西側の浜島漁港で、鳥羽海上保安部浜島分室の小型ボートが、係留されている漁船に近づいた。海上保安官が双眼鏡をのぞき、船名や船体番号を1隻ずつチェックする。「狭い入り江にも入れるよう、小回りが利く船でやっています」

 海上警備を担う第4管区海上保安本部は昨年、サミット開催が決まった翌7月に英虞湾の調査を開始。正確な地形や湾内構造に加え、船の数や種類、現存する漁業施設などの現状確認を徹底した。開催まで100日となった今、だいたいの状況はつかめた。この取り組みがあってこそ変化をいち早く察知でき、迅速な対応につなげることができる。

 これまでの海図が大正時代のものだったため改めて測量すると、水深がより浅い場所が約40カ所あった。巡視船や巡視艇だけでは行き届かず、小さいゴムボートや小型船の機動力も駆使する。船体番号が消えるなどして所有者がわからない船が約1千隻あることも判明。テロリストに悪用される危険性を潰すため、所有者の確認を急ぎ、廃船なども管理して知らない船がないように努める。

 2008年の北海道洞爺湖サミットでは湖近くの海岸線が直線的で見通しがよく、主会場は内陸だった。00年の沖縄サミットでも、主会場は沖縄本島の見晴らしのいい小さな岬にあった。「過去の国内サミットの成功経験が生かせず、これまでとは海上警備の重要度が全く異なる」と4管幹部は気を引き締める。