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■キャンプの素顔

 少ししゃがれて甲高い独特な声が、グラウンドに響く。

 「へい! あんちゃん(安藤投手)。頑張れ!」「いいねえ。グーだよ、グー!」「そうだ、それだよ。忘れるな」

 28年ぶりに現場復帰した阪神の掛布雅之・2軍監督(60)だ。風貌(ふうぼう)も、話す内容も、どことなく昭和の香りがする背番号「31」が、安芸キャンプ全体の雰囲気を明るくしている。

 キャンプ2日目は準備運動のあと、投手陣も入ってベースランニングをした。「しんがり」を務める15年目の安藤を、笑顔で激励する。コーチ陣が提案した「罰則」を大げさに奨励し、若手選手には頻繁に声をかける。

 春季キャンプのモットーは「厳しく明るく」。その雰囲気作りの先頭に自らが立つ。「選手にはどんどん声を出して欲しい。そのきっかけを作るのも我々の仕事だから」と語る。現役時代は「きつい練習があるから来るのが嫌だった」という安芸。鍛錬の場であることに変わりはないが、同じきついことをやるなら明るく過ごそうと呼びかける。

 2日目も、故障明けで別メニューの新人・高山の打撃練習に寄り添い、ブルペンでは投手陣の状態をチェックし、打撃練習ではアドバイスを送り続けた。ロングティー、居残りの特打ち練習が終われば、一緒にボールを集める。その間も選手との会話を欠かさない。

 練習の最後には、補助アルバイトの学生と打撃練習用ケージの片付けもする。帰りを待つファンには、サイン代わりに用意した名刺大のカードを、初日に続いて手渡した。「はい、ありがとう」「はい、どうもね」

 とにかく明るい背番号「31」は、ファンへの気遣いも忘れない。(編集委員・安藤嘉浩

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