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 台湾南部を6日未明に襲った地震で、死者は倒壊した16階建てマンションの12人など、台南市で14人に上った。同市消防局が発表した。同市内では、6日夜時点で家族と連絡が取れていないといった届けが100件余りあるという。衛生福利部によると、負傷者は480人に上り、うち21人が重傷という。

 倒壊したマンションは当初17階建てとされていたが、地上16階、地下1階の構造だった。マンションでは生後10日の女児らが死亡。256人が住んでいたとされる。夜までにほとんどが救出されたとみられるが、6日からの春節(旧正月)の連休に合わせて帰省していた人がいる可能性もあり、取り残されている人数ははっきりしない。

 マンションから救出された鉄板加工会社で働く蘇益民さん(48)は6階の部屋で妻と長女、長男の計4人で寝ていた。「地震の瞬間、ものすごい揺れを感じて、ベッドから滑り落ちた。そのときにマンションがつぶれたんだと思う」と朝日新聞記者に語った。

 そして、ベッドとたんすの間で身動きがとれなくなった。1時間ほどして、窓から入ってきた救助隊に引っ張り出してもらった。外に出ると、頭の中が真っ白になり、呼びかけに何も反応できなかったという。

 幸い蘇さんは無傷で、妻も軽傷だった。ただ、長男は目に内出血があり、しばらくは安静が必要だという。現在は台南市が用意したホテルで静養している。「本当に幸運だったが、もっとひどくつぶれた部屋もある。そのことを考えるとつらい」と声を振り絞った。

 台湾紙の自由時報(電子版)によると、一家4人でマンションから逃げたある住民は「寝ていると揺れで起こされ、直後に建物が倒れる感覚に襲われた。あたりは真っ暗で、全身が物に押しつぶされた。建物中で助けを求める叫び声が聞こえ、恐ろしいのひと言だった」と振り返った。

 内政部消防署によると、台南市では9棟が全半壊、5棟が傾いた。このマンション以外で2人が死亡したが、被害は、建物が折れて横倒しになったこのマンションに集中している。マンション周辺のほかの建物には大きな被害が出ていないこともあり、台湾メディアでは欠陥工事の可能性が指摘されている。

 中央気象局によると、震源は高雄市美濃で深さは16・7キロ。地震の規模はマグニチュード(M)6・4。台南では震度5を記録し、午前7時ごろまで断続的に余震と見られる地震が続いた。台湾周辺では海側のフィリピン海プレートと大陸側のユーラシアプレートがぶつかりあってひずみがたまりやすく、地震が多い。

 日本の対台湾窓口機関「交流協会高雄事務所」によると、6日夕の時点で日本人の被害の情報はない。

 春節の連休では台北など北部で暮らす人が南部の実家に帰るケースが多く、地震は帰省ラッシュを直撃。台南付近で架線に被害が出たため、台湾高速鉄道(台湾新幹線)が中部の嘉義以南の運行を終日取りやめるなど混乱が続いた。(台南=鵜飼啓、鬼原民幸)