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■キャンプの素顔

 大きく振りかぶって、足を高く上げてからの下手投げ。独特だが美しいサブマリン投法から、積み上げた勝利数は284。オリックスの前身・阪急で一時代を築いた山田久志さんが、6日から臨時コーチとしてやってきた。9日まで投手を中心に指導する。

 初日からブルペンでいろんな投手に声をかけて回った山田さんだが、横手投げ投手のことは、やっぱり気になったようだ。体の使い方を伝えるだけでなく、球を投げて模範を見せてまで付きっきりで教えたのが、2年目右腕の高木だった。

 NTT東日本から入団した高木は昨秋「悩んだけど、自分がプロで生きていくのはこれ」と横手投げに転向した。この日のブルペンでは、山田さんにフォームをチェックされ、「投球フォームにねじりがない。淡泊。ボールに一瞬で力を伝えないと、キレが出ない」などと言われた。投球中、中島が打席に入ったときは大胆に内角を突いたが、高木には完全に見切られたように映った。山田さんは「内角を覚えるのは、時間がかかる」と言いながら、「体力もありそうだし、腕は振れる方だと思う」と期待した。

 今の選手は、山田さんの現役時代を知らない。というか、記事の冒頭で山田さんの特徴を書いた記者も、生で見たことはない。高木が「中日の元監督ですよね。話しやすい方でした」と、その印象を語るのも仕方ない。

 山田さんによると、プロ選手への指導は2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表の投手コーチを務めて以来という。「久々にグラウンドに立って、投げている姿を見るのは、気持ちいいもんだ」。4日間だけで、細かな技術の伝授は難しいだろう。だが、プロとしての心構えや、マウンド度胸など、大投手から得られるものはありそうだ。(井上翔太