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 日本の最西端、与那国島(沖縄県与那国町)で採れるパクチー(香菜、コリアンダー)が注目を集めている。独特の香りがあり好みの分かれる野菜だが、東シナ海の潮風にもまれた島のパクチーは、「マイルドで食べやすい」との声も。東京など遠隔地の飲食店からも引き合いがあり、町は「新たな特産品に」と夢をふくらませている。

 台湾まで約110キロの東シナ海に浮かぶ与那国島。2月上旬、潮水を巻き上げた強風が吹き付ける畑で、青々としたパクチーが育っていた。風が弱まると、少し青臭い新鮮な香りが足元から立ち上る。

 与那国島では「クシティ」と呼ばれるパクチー。毎年10月ごろに種をまき、12月から翌年2月ごろに収穫する。与那国町産業振興課によると、地元でも好き嫌いの分かれる野菜だが、「クシティを食べないと冬が来た気がしない」「冬の間はまるで『主食』」と言う人もいるそうだ。

 ここでの食べ方は、ボウルに盛ってツナであえるサラダが定番。居酒屋の女性店員は「与那国島産を食べてパクチーが好きになったと言う人もいますよ」。

 島内の生産農家、本田哲也さん(34)は「本土で流通するパクチーより、青臭さや苦みがマイルドで食べやすいと言われる。本土に種を持って行った人もいたが、気候や土壌の影響か同じ風味にはならなかった」と話す。

 本田さんによると、島内でパクチーを出荷している農家は4軒ほど。自家消費のために育てる世帯は数多いという。「島内の需要がすごくて手いっぱいの状態だが、最近は島外から『仕入れたい』と声がかかる」

■ブームに乗り、クチコミで人気に

 実際、パクチーはここ数年、ブームの様相を見せている。東京都内を中心に、パクチー料理が売りの飲食店が相次いでオープン。パクチー風味のラーメンやスナック菓子も販売され人気を呼んでいる。

 「パクチー生産量の全国的な統計はない」(農林水産省)ものの、主要産地の一つ静岡県の場合、JAが把握している2014年度の生産量は72トンで、2年前と比べ3割増加した(JA静岡経済連調べ)。与那国産パクチーの生産量統計はないが、出荷する農家数から、静岡よりはるかに少ないと想像がつく。

 とはいえ、ブームを追い風に「日本最西端のパクチー」の存在はクチコミなどで広まり、町役場や地元JAには「どこで買えるか」「種を譲って」といった問い合わせがあるという。

 パクチー料理専門店「パクチー…

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