橋下徹・前大阪市長が、府知事時代も含む8年で最も重視した分野の一つが教育だった。大阪の未来を考える対談企画の第3回のテーマは教育。東京都杉並区の公立中で2003年から民間人校長を5年間務めた藤原和博氏と、前大阪教育大学長の長尾彰夫氏が語り合った。

■考論 大阪のあした

――この8年間で教育現場は大きく変わりました。

 藤原和博氏 橋下さんの施策には情報公開、ルールの明確化、その土俵での民間も含めた「競争」という三つの基本方針があった。沈滞した組織の活性化には誰もが思いつく手法だが、彼には実現できるリーダーシップがあったと思う。

 長尾彰夫氏 学ぶ点が確かにあったとしても、民間で成功した手法をそのまま持ってくるのは間違いやと思う。プロ野球の選手をラグビーに使ってうまくいくか。なんでも競争でなく、どんな競争が不足しているのかきちんと言わないと。

 藤原 競争が必要というのは、健康になるには体を鍛えねばならないという意味。でも教育現場の一部は鍛えて改善するより、もはや注射や外科手術が必要な時期に来ていると思う。

 長尾 カンフル剤なら、民間活用や競争も良いよ。でもそればかりでは、身体が麻痺(まひ)して死んでしまう。

 藤原 大阪市は民間人校長を大量に採用した。不祥事が続いたが、刺激を与えている民間人校長もおり、失敗を許さない雰囲気になったのはよくない。消費社会が60年も続き、教育や学校も、欲求を満たすための「消費財」ととらえるお父さんやお母さんが増えた。教育は学校と保護者と地域社会ではぐくむ、という意識が薄まってしまった。

 長尾 橋下さんの過度な教師・学校たたきで、学校が悪者にされたダメージは大きい。「教師は敵」「学校は敵」「クソ教育委員会」と教育不信をあおったのは一番の罪やと思うね。

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