[PR]

 タイ南部の海岸で1月下旬、謎の物体が漂着した。航空機の残骸のような大きな金属片で、一時は2014年3月に消息を絶ったマレーシア航空MH370便の一部か、と注目を集めた。実際には、日本から打ち上げられたロケットの部品がはるばるタイに流れ着いた可能性が高いという。

 現地報道などによると、金属片はタイ南部、タイランド湾に面したナコンシータマラート県の海岸で16年1月23日に見つかった。海洋生物の付着度合いなどから1年以上漂流していた可能性があるという。直後からマレーシア航空MH370便の新たな残骸の可能性が指摘され、メディアにも取り上げられた。

 クアラルンプールから北京に向かう途中で消息を絶ったマレーシア航空MH370便は、インド洋西部の仏領レユニオン島の海岸で主翼の一部が見つかっているだけだ。ただ、現地を視察したマレーシアの当局者は26日、「マレーシア航空機の一部ではない」との見方を示した。金属片にあった番号などが航空機の部品番号と異なっているという。

 では、この漂着物は何の一部なのか。ロケットの打ち上げを宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受託している三菱重工業の広報担当者は「日本から打ち上げられたロケットの部品であるフェアリングの可能性が高い」と話す。金属片に残る番号や形状などから判断しているという。

 フェアリングは、ロケットの先端部分にあり、人工衛星などの搭載物を保護する収納カバーだ。例えば、17日に鹿児島県種子島から打ち上げが予定されているH2Aロケット30号機の場合、打ち上げの4分経過後に高度170キロでロケット本体から分離される。発信器が取り付けられており、小笠原諸島の北西の海域に落下後、船で回収するという。

 落下する際に一部破損してしまうこともあり、回収しきれなかったフェアリングの残骸が漂着する例は、実は多いという。沖縄には度々流れ着いており、06年12月に打ち上げられたロケットのフェアリングが漂着した八重山諸島・黒島では、JAXAの許可を得て「宇宙からの漂着物」として島内で展示している。昨年9月には北海道・函館の海岸でも見つかったという。

 フェアリングは、記念品にもなっている。小惑星探査機「はやぶさ2」を保護したフェアリングは、回収後に約4センチ角に切り分けられて、当選した人に配られた。

 今回タイで見つかった金属片がロケットの部品だった場合、回収方法などは「まだ未定」(三菱重工)だという。(鈴木康朗)