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 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップに1月就任したイタリア出身のフィリッポ・グランディ氏(58)が9日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。戦闘が激化するシリアをめぐる難民問題の対策として、周辺国に逃れた難民を第三国が受け入れ定住させる「第三国定住」制度が最重要との考えを表明。日本の資金提供を評価しつつ、この制度の対象を広げるよう求めた。

 グランディ氏が就任後初めての訪問先に選んだのはシリアと近隣の3カ国。難民がキャンプなどで直面している現実を目の当たりにし、「言葉を失った。絶望、恐怖、貧困。すべての人々が信じられないような物語を持っていた」と振り返った。

 UNHCRによると、これまでにシリアから国外に逃れた難民はすでに計約460万人にのぼり、今も増え続けている。グランディ氏は「(シリア北部の)アレッポ周辺で戦闘がさらに拡大すれば、(難民が)トルコ国境に押し出される」と懸念を表した。

 トルコはシリア難民の半数を超える250万人以上をすでに受け入れていることから「トルコ政府は国境をいつまでも開き続けないだろう」と言及。大量の難民を安全に保護する手法として、「最も重要なのは第三国定住だ」と語った。

 トルコ沿岸からギリシャへとエーゲ海を渡る途中に密航船が転覆し、犠牲者が急増中。「(第三国定住の拡充により)難民はリスクの高い方法で移動しなくてもよくなる。第三国定住の対象は(世界で)数万人の規模にとどまるが、数十万人規模になれば、難民にとって重要な選択肢になる」と期待を表した。

 また、シリアなどの難民が目指す欧州の国々で門戸を閉ざす動きが勢いづいていることについて、「難民は保護を必要としている人々であり、政治問題化は間違いだ」と明言。「外国人を嫌悪する見解を広める政治家は強い言葉で非難されなくてはならない。外国人排斥は、国連や欧州連合のあらゆる原則に反する」と訴えた。

 一方、日本の難民支援については「日本は資金面では最も重要な提供国の一つであり、決して過小評価されるべきではない」と述べた。そのうえで「日本はミャンマー難民の第三国定住プログラムをしている。とても小規模だが、これが良い足がかりになるだろう」として、シリア難民の受け入れに期待をにじませた。(ジュネーブ=松尾一郎)

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