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 北朝鮮が核実験に続き、長距離弾道ミサイルの発射実験にも踏み切り、朝鮮半島は再び緊張に覆われている。暴走を食い止める手段はないのか。米中央情報局(CIA)の諜報(ちょうほう)員や共和党政権時代のホワイトハウス高官、駐韓大使として、ほぼ半世紀にわたって朝鮮半島情勢を見つめてきたドナルド・グレッグ氏に聞いた。

 ――北朝鮮に対し、日韓両政府が独自の制裁を発表し、米議会も制裁強化案を可決、国連安全保障理事会も協議しています。

 「金正恩(キムジョンウン)第1書記が、また一歩みずからを孤立させ、さらに難しい立場に追い込みました。彼には国際情勢に通じた信頼できる側近が、いないのでしょう。ただ、孤立しているがゆえ北朝鮮への制裁は効果をあげにくい。しかも、国力が弱い、でも安定した隣国を好む中国は、中朝国境の不安定化につながりかねない制裁にはくみさず、支援を続けるでしょう」

 「私はこれまで6度訪朝していますが、最後に訪れた2年前、平壌に駐在するスウェーデン大使夫妻と会った時、彼らは私に『制裁は権力を持つ人たちには影響を及ぼさず、権力のない弱い人たち、北朝鮮の庶民を傷つけているだけだ』と話していました」

 ――では、朝鮮半島の非核化に向けて国際社会は何ができ、何をすべきなのでしょうか。

 「対話することです。とりわけ米国が果たすべき役割は大きい。6者協議は利害の異なる各国が、それぞれの国益を追求するので時間が浪費されます。北朝鮮は朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に変えることで、体制の存続をはかろうとしています。米国に北朝鮮と再び戦争をする用意がない以上、対話のほかに選択肢はないのです」

 「1970年代の北東アジアには、政府にたて突く市民を捕らえて拷問し、極秘に核開発計画に着手し、米国が望まない兵器の調達を試みた国がありました。韓国です。その韓国はいま、アジアにおける頼りがいのある米国の同盟国となった。こうした変化は、時には感情的になったり、疎遠になったりしながらも、関与と対話を続けたことによってもたらされました。私たちは同様のプロセスを、北朝鮮とも始めなければなりません。もちろん長期にわたり、忍耐を必要とするでしょう」

 ――北朝鮮の独裁体制を助けるだけで、圧政に苦しむ人たちを救うことにはならないのでは。

 「10年ほど前、ハーバード大…

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