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■特集(就活面接の裏側)

 1学年7千人余りの学生を抱える明治大学では、3年生の秋から使える「就職活動手帳」を、学生に無償配布しています。早い段階から、学生に就職活動へと目を向けてもらうのが狙いです。就職キャリア支援部の福田敏行部長と滝晋敏さんは「企業選びの視野を広げる手助けをしたい」と力を込めます。

 ――「就職活動手帳」を拝見しました。スケジュール帳の後ろに、就職活動に役立つ自己分析や業界研究のやり方が、約90ページにもわたって書かれています。

 福田さん 「4年前から配り始め、約8割の学生が使ってくれています。面接やエントリーシート提出が始まる前の時期に、『なにやっていいかわかりません』という学生が結構いるんです。そうした学生の助けになればと考えています」

 「学生には自己分析をしっかりやって、エントリーシート向けの自己PR文もさまざまな分量に対応できるよう、準備しておいた方がいいとアドバイスをしています。しかし、半分以上の学生には、就職活動は3月からスタートだという意識があるのではないでしょうか」

■「就活楽勝ムード」で油断も

 ――今年は大企業の選考解禁が、昨年の8月から、6月へと前倒しされました。学生には、不安もあるのでは?

 滝さん 「私どもも前倒しについて、学生向けにガイダンスをしました。計3回で800人くらいの参加がありました。ですから、前倒しへの関心や不安はあると思います。ただ、先輩の4年生を見ると、昨年は3月から就活を本格化させても間に合い、就職状況もよく、複数の企業から内定を得ている学生が多い。そのため、3年生にも、就活楽勝ムードといいますか、油断のようなものがあるのではないかと感じることがあります」

 福田さん 「なかでも心配しているのが、企業研究がおろそかにならないか、ということです。3月に入り、時間に追われると、自分の視野のなかでしか動けなくなります。それをどうやって広げてあげられるか、難しいところです」

■イメージ先行の就活やめよう

 ――どのようにアドバイスをしていますか?

 滝さん 「何をやりたいのか分からないという学生もいますが、これをやりたいから、この業界だけしか目に入らない、というイメージ先行で就職活動を進めてしまう学生も多いですね」

 「例えば、企業を見つける軸として、社会に貢献できる仕事をしたいと考える学生がいます。すると、社会貢献するならインフラ企業だ。インフラ企業と言えば、目につく鉄道、電気、ガスだと狭い業種だけで志望を固めてしまいがちです」

 ――選択肢を、自ら狭めてしまっているわけですね。

 滝さん 「ほかにも海外で仕事をしたい、それなら、総合商社だと考えてしまう。海外の貧困層の人々に何かをしたいと考えたときに、選択肢はもっと多彩なはずです。トイレなど水回り設備のメーカーだって、貧しい国々で普及を進めていく仕事があるかもしれない。そういう風に視野を広げ、見方を変えていって欲しいですね」

 「また、名前の知られた企業でも、学生が商品や事業への先入観をもってしまっている場合があります。学生には例えば、『コクヨと聞いてどう思う?』と聞いています。文房具メーカーですよね、と答えが返ってきます。しかし、私どもの中野キャンパスでは、内装のデザインや家具の選定にも、コクヨが深く関わっています。空間デザインをやりたいという学生がいたときに、コクヨが文房具メーカーというふうにしか知らないと、まず就職活動で見に行きませんよね。きちんと情報収集をしておけば、選択肢に入れることができ、入社後のミスマッチを防ぐこともできます」

■ネットでは調べられないことも

 ――「就職活動手帳」では、電話や服装などのビジネスマナーも紹介しています。

 滝さん 「学生はどうしても携帯電話に慣れ親しんだ世代なので、知らない人に電話をするという経験が少ない人も多い。携帯電話で本人に直接つながるのが当たり前だからです。ですので、企業に電話してOB・OGを紹介してもらうという行動を、おっくうに感じてしまう学生もいるのです。マナーを伝えることで、できるだけ行動を後押ししてあげたい」

 「また、ネットで何でも調べられるんじゃないかという意識も、学生にはあります。しかし、新聞や業界誌を読んだり、OB・OG訪問をしたりしないと、企業の深い情報はなかなか知ることができません。イメージで動かないで、できるだけ多くの企業の人に会い、大人の話を聞くことが大事です。大学でも1日6社程度の話が聞けるように、説明会のスケジュールを組んでいるのですが、ひとつふたつ目当ての企業を聞くと帰ってしまう学生が多い。それはもったいないと感じています」

 福田さん 「就職活動期間というのは、学生が成長していくためには、一番良い期間なのだろうと思います。見ていると、学生の目つきが変わっていく。充実した大学生活を送るためにも、悔いのない就職活動をやり遂げて欲しいと思います」(信原一貴)