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 韓国政府は10日、北朝鮮南西部にある開城(ケソン)工業団地の操業を全面中断するとの声明を発表した。開城工団は韓国企業が入居し、北朝鮮労働者が働く南北協力事業。国連安全保障理事会で北朝鮮に対する制裁決議の検討が続いているが、中国が慎重姿勢を崩していない。韓国が朝鮮半島の当事者として厳しい措置を率先して打ち出すことで、協力を引き出す狙いがある。

 韓国政府は、北朝鮮が1月に4度目の核実験をした後、軍事宣伝放送を再開。今回は事実上の長距離弾道ミサイルの発射を踏まえ、最も強い措置と言われる開城工団の操業中断に踏み切った。北朝鮮側が反発する可能性がある。

 開城工団は2000年の南北首脳会談をきっかけに造成され、04年12月に生産が始まった。現在入居している韓国企業は124社で、北朝鮮労働者は15年8月時点で5万4702人。操業の中断は、北朝鮮の貴重な外貨収入源の一つを断ち切る効果がある半面、韓国企業にも大きな影響を与える。

 韓国政府声明は、開城工団について「北朝鮮の核兵器と長距離弾道ミサイルの高度化に悪用される結果になった」と指摘した。これまで開城工団を通じて北朝鮮に総額6160億ウォン(約590億円)の現金が入り、昨年だけでもその額は1320億ウォン(約130億円)に上ると説明。政府と民間の投資は総額1兆190億ウォン(約980億円)だったとした。そのうえで開城工団の資金がこれ以上、核・ミサイル開発に利用されるのを防ぐため、全面中断を決め、北朝鮮当局に通告したという。

 声明は再開の条件や時期に触れていない。韓国政府は再開するには北朝鮮が核・ミサイル開発に関する韓国や国際社会の懸念を解消する必要があるとしており、中断が長期化する可能性がある。(ソウル=東岡徹