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 作家の谷崎潤一郎(1886~1965)が、小説「細雪」に登場する「杉浦博士」のモデルにしたといわれる精神科医・杉田直樹さんに送った書簡が見つかった。谷崎の3番目の妻松子の長女恵美子について、診察を依頼した手紙とその礼状。小説の中で、恵美子がモデルとされる「悦子」が受診するエピソードと一致し、実話が下敷きであったことを裏付けている。

 書簡は、杉田さんの出身地である東京都文京区に昨年、遺族が寄贈した。診察の依頼は1937年10月13日。脚気と診断された「九歳になります連れ子の娘」について、不眠や不潔への恐怖などの症状をつづり「妻が同伴し」「午前中に」行くとしている。小説では、松子がモデルの「幸子」が脚気と診断された娘悦子の神経症状を心配し、杉浦博士を朝方に訪ねている。

 杉田さんと谷崎は旧制一高時代からの友人。文面からは、谷崎が若い妻とその娘に向ける細やかな気遣いや、旧友への深い信頼が読み取れる。千葉俊二・早稲田大学教授(日本近代文学)は「悦子の受診が恵美子の体験を踏まえて書かれたことが確認でき、症状も明らかになったことは貴重で、『細雪』研究の上でも一級の資料だ」と話す。

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