[PR]

 米ブッシュ前政権で6者協議担当大使などを務めたジョセフ・デトラニ氏が、朝日新聞記者のインタビューに応じた。昨年、政府間の協議に向けた現状の打開を視野に、専門家として北朝鮮の外務次官と会談している。昨年に金正恩(キムジョンウン)政権の高官と接した数少ない米国人として、今の北朝鮮をどう見るのかを聞いた。

 ――1月の核実験とそれに続く長距離弾道ミサイル発射実験をどう見ますか。

 北朝鮮は明らかに核兵器とミサイルの能力を向上させた。水爆ではないと思うが、能力が向上した原爆かブースト型核分裂爆弾の実験だったのではないか。大陸間弾道ミサイルの開発も進めており、国際社会を当惑させる開発だ。

 彼らは核爆弾の小型化を進めている。更なる実験を必要としているが、その能力を身につけるのはそう遠くないだろう。

 ――金正恩体制は安定していると思いますか。

 金正恩政権は今のところは安定しているが、同時に極めてもろい状態だ。正恩氏が高官たちの忠誠心に懸念を持っていないなら、こんなに多くの粛清を見ることにはならないだろう。

 ――北朝鮮と対話して、何がわかりましたか。

 2015年1月、シンガポールで北朝鮮の李容浩(リヨンホ)外務次官らと非公式に会談した。互いに率直に話した。外務次官はそれなりに重要な高官だ。米国との対話や6者協議を再開したければ、包括的で検証可能な朝鮮半島の非核化を議題の中心にする必要がある。北朝鮮がそのことを理解しているとわかった。体制保障や経済支援などを求めるなら、非核化を話し合う必要がある。少なくとも李氏は、朝鮮半島の包括的かつ不可逆、検証可能な非核化について協議に応じる考えを示した。筋の通る話だとも言った。公式対話ではないが、よい話し合いだった。

 彼らは米韓合同軍事演習を中断すれば、核実験を中断すると主張した。北朝鮮は常に、米国の「敵視政策」を問題にする。「演習の目的は北朝鮮への侵略だ」と主張する。もちろん、目的は防衛だし、米韓演習は二国間の問題だ。

 ――オバマ政権の対北朝鮮政策を支持しますか。

 北朝鮮を核保有国として認めないオバマ政権の立場を支持する。軍縮ではなく、非核化の協議をしている。正しいやり方だと思う。

 我々は、中国の北朝鮮への影響力も考え、戦略的忍耐という戦略を取ってきたが、4度目の核実験と、ミサイル発射も許した。数年前はこの戦略が正しかったが、成功しなかった。北朝鮮は核とミサイルの能力を向上させ、この地域と米国にとっての脅威になっている。

 ――「予備的対話」をするよう唱えていますね。

 昨年1月の会談で、私は個人の考えとして、李氏に対し、北朝鮮が非核化についての協議に応じる用意があるのなら、対話は日米韓中ロの5カ国にとって利益になると伝えた。6者協議の再開ではないが、彼らの考えを聞くということだ。

 だが、結局、核実験とミサイル発射だ。北朝鮮は核兵器開発をあきらめない。ではどうするか。もし北朝鮮に対話の用意があれば、前提条件なしに非核化をめぐって協議を始める「予備的な対話」があってよい。

 核実験とミサイル発射をした以上、強力な制裁が必要だ。その一方、もし北朝鮮が非核化を巡る対話を希望したら、前提条件なしで応じる必要があるのではないか。多くの人は反対し、時間の無駄だと言うが、私はそうは考えない。北朝鮮が非核化を協議する用意があるというなら、対話に応じるべきだ。北朝鮮が見返りに得るものは体制の安全保障だけだ。合同演習や兵器の数などの話ではない。

 無視していれば、彼らは兵器やミサイルをさらに増やす。前提条件なしに、非核化のみを話し合う。この考えは以前から変わらない。

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

お得なシンプルコース980円が登場しました。詳しい内容はこちら

こんなニュースも