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 自宅で、電車で、あるいは居酒屋でも――。クラシックの演奏会をパソコンやスマートフォンでいつでもどこでも生で聴き、見られるインターネットの動画配信が広がりつつある。新たなマーケットでもあるが、高額な経費や設備投資など、主催者側には悩ましい問題も多い。

■会員制の有料サービス

 名門ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の「デジタル・コンサートホール(DCH)」は2009年に始まった。それまで入手困難だった定期演奏会のライブ映像を1公演9・9ユーロ(約1275円)で見られる会員制の有料動画配信サービスだ。

 149ユーロ(約1万9180円)の年間チケットを買えば、毎シーズン40回以上のライブ中継のほか、300以上のアーカイブ映像やドキュメンタリー、カラヤンやアバドらの歴史的映像を楽しめる。キリル・ペトレンコを次期首席指揮者に選んだ昨年6月の発表会見も生中継された。

 DCHを運営するベルリン・フィル・メディアによると、会員は世界約180カ国・地域に約2万2千人。20%が本国ドイツで、次いで日本と米国が18%を占める。

 動画収録には、数十種類のアングルを設定した無人遠隔操作用のビデオカメラを7台使う。ホール内の収録スタジオで映像監督やスコア・リーダー、カメラマンら6人が操作し、別のスタジオにも2人の音声スタッフが入る。

 設備投資や人件費は相当かかるが、スポンサーのドイツ銀行が初期からサポート。ソニーの技術支援も受け、高い完成度を誇る。運営会社幹部は「経済的に成功しているが、巨額の経費がかかるのも確か。維持するにはオケのブランド力とスポンサーが必要だ。昨今は無料配信が増えているが、我々はベルリン・フィルの演奏はお金を払ってでも見る価値があると考え、ユーザーが料金を払うことに大きな意味を見いだしている」と語る。