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 「2位じゃダメなんでしょうか」。民主党政権時代にそんな国会議員の発言が論議を呼んだ、理化学研究所計算科学研究機構(神戸市)にあるスーパーコンピューター「京(けい)」。後継機は京が目標とした「世界最速」に届かない見込みを文部科学省が発表した。計算速度だけを求めれば、省エネ性能や使い勝手が落ちることが背景にある。

 スパコンは科学や産業を支える基幹技術のため、各国が開発にしのぎを削る。米テネシー大学などの研究者らが主催する、スパコンの計算速度の最も権威ある指標とされる世界ランキング「TOP500」(年2回公表)で、京は目標通り2011年に世界1位を取った。

 しかし、いまは中国や米国のスパコンに続く4位に後退。来年度は東京工業大や東京大などの最新スパコンが登場し、国内でも2位以下に落ちる見通しに。

 20年稼働予定の京の後継は「ポスト京」と呼ばれ、当初は世界一奪還の計算速度を目標にした。具体的には「エクサ級」といい、1秒間に1エクサ(100京)回計算できる性能を目指した。だが、今月10日に文科省が発表した基本設計の概要では「世界最高水準」を目指すとしたものの、速度は「京の100倍」に達しない見込みだ。

 背景には、計算速度を上げるほど消費電力が増えてしまうことがある。京の電気代や自家発電の燃料となるガス代は1日700万円弱にのぼる。世界ランキング用のデータの計算速度を上げるだけでは、実際に科学や産業で使う大量のデータを高速処理できず、使い勝手が悪いとの批判もあった。