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■キャンプの素顔

 サッ、サッ、サッ……。西武のA班キャンプが行われている宮崎県日南市南郷町。投球練習が終わり、静まりかえったブルペン付近で、なんだか落ち着く音が聞こえる。気になって、ブルペン横に設置されている選手の待機部屋の方にまわってみると、プロ2年目左腕の佐野の姿があった。

 手に持っていたのは、ほうき。手慣れた動きで左右に動かし土やほこりをはいていた。先輩から「きれいになったな!」と声をかけられると、思わず笑みがこぼれる。少し離れたところには4年目左腕の佐藤、待機部屋のドアが開くと、2年目右腕の高橋光も黙々と掃除に打ち込んでいた。

 誰の指示で始まったかは定かではない。だが、西武キャンプでは、若手投手が最後まで残り、部屋や部屋の周辺を掃除するしきたりがある。1997年のドラフトで西武に入った土肥投手コーチも、過去に担当した1人だ。「特に指示が出ているわけではないけど、毎年、何人かでやっている。自分たちが使ったもの、用具などを大切にすることを学ぶ意味もある」。

 「担当者」は毎年、年齢の若い順番から選ばれていく。今年は19歳の高橋光、21歳の佐藤、23歳の佐野と、右ひじ痛で10日から高知県のB班キャンプに合流した21歳右腕の誠の4人でスタートした。実績やプロ年数は関係ないという。

 今年初めてA班キャンプに呼ばれた佐野は「昨年までは、雄星さん(菊池=今年プロ7年目)もやっていた。伝統の一つなので、頑張ってやっています」。連日きびきびと動き回っている佐藤も「整理整頓もそうですが、ちゃんとやっていれば、野球でちょっと運がまわってくるかなとも思います」。

 後輩たちに受け継ぐその日まで。3人はせっせとほうきを振り続ける。(遠田寛生)

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