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 川崎市の老人ホームで2カ月間に3人が転落死した事件で、うち1人を殺害した容疑で元職員の今井隼人容疑者(23)が逮捕された。ホームで働き始めて、わずか半年後に起きた事件。周囲が「正義感が強く、まじめ」と語る容疑者に何があったのか。

 「心臓マッサージをしてあげた」。2014年11月、入所者の丑沢(うしざわ)民雄さん(当時87)が施設の裏庭で転落しているのが見つかった後、第一発見者だった今井容疑者は施設関係者に、誇らしげに話していたという。逮捕の知らせを聞き、この関係者は「まさか自作自演だったとは……。信じられない」と驚きを隠さなかった。

 施設の運営会社などによると、今井容疑者は救命救急を学ぶ神奈川県内の専門学校を卒業後、14年5月に入社した。専門学校の後輩によると、今井容疑者は「文化祭の副会長を務め、リーダーシップを発揮していた」という。

 入社の動機について今井容疑者は昨年9月の取材に対し、「家族の1人が亡くなったのをきっかけに介護の仕事をやりたいと思った」と語っていた。元施設関係者は、今井容疑者が入社して間もないころ、休憩時間などに他の職員に「救命士だったらこういう風にやる」と身ぶりを交えて説明していたのを覚えている。「少し見えをはっているようにも感じたが、正義感が強く真面目に仕事に取り組んでいた。周りにもうまく溶け込んでいた」

 今井容疑者は、入所者から財布を盗んだ窃盗の疑いで昨年5月に県警に逮捕され、その後に執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 判決などによると、盗みを始めたのは入社から4カ月目の14年9月ごろ。盗んだ金を使って友人らに食事などをおごっていたという。「おごることで、周囲が自分を認めてくれるように感じた」。今井容疑者は法廷でそう語っていた。(照屋健、室田賢)