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 マイナンバー制度の運用開始直前に発覚した関連業務での汚職事件。「厚労省の赤シャツ」とも呼ばれたという異色の公務員は、少しやつれた様子で法廷に現れた。

 東京地裁、725号法廷。厚生労働省情報政策担当参事官室元室長補佐の中安一幸被告(46)の初公判は、年の瀬も迫った昨年12月24日にあった。

 カラーシャツや派手なスーツに、整髪料で固めたオールバックの髪……。マイナンバー通知の時期と重なったことに加え、逮捕時に報じられた公務員らしからぬ風貌(ふうぼう)は世間の注目を集めた。しかし、この日の被告はダークスーツにネクタイをしめ、白髪交じりの髪を無造作におろしていた。2日前、被告は厚労省を懲戒免職となっていた。

 被告「マイナンバー制度の開始時期と重なり、政策に携わった関係者、政府全体の信頼を失墜させた影響は大きいと悔いています。結果を重く受けとめています」

 事件に至る経緯はこうだ。

 被告は高校卒業後、国家公務員3種に合格。いわゆる「ノンキャリア組」として1991年に当時の厚生省に入省し、病院勤務などを経て、2005年に厚労省の医療関係の情報室に異動した。電子カルテなど医療情報の電子化などに関わり、その分野に精通していく。

 事件が起きた11年当時も、医療や社会保障制度の情報化政策の企画立案を担当。マイナンバー制度の活用を検討するためのワーキンググループでも、被告は中心的役割を担ったという。

 しかし、事件はそのマイナンバー導入に向けた調査業務の公募で起きる。被告は知人男性が社長を務めていた東京都千代田区のシステム開発会社がこの業務を受注できるよう、同社の関係者に仕様書の原案などを作らせた。同社の受注が確実とわかった11年11月。被告は同社の社長室に出向き、指を1本立て、男性に現金100万円を要求したという。

 被告「起こしてしまったことについて、深く反省しています」

 受け取った100万円はクレジットカードの決済、住宅ローンの支払いなどに消えたという。なぜそこまで金に困っていたのか。

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