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 台湾で第2次世界大戦後に国民党政権が住民を弾圧した「2・28事件」をめぐり、台北高等行政法院は17日、日本人犠牲者の遺族で沖縄県浦添市在住の青山恵昭(けいしょう)さん(72)に600万台湾ドル(約2千万円)の賠償金を支払うよう、財団法人「二二八事件紀念基金会」に命じる判決を下した。同事件で外国人への賠償が認められるのは初めて。

 青山さんの父、恵先(えさき)さんは台湾から仏領インドシナに出征し、戦後に鹿児島に復員した。青山さんと母親は1946年末に長崎に引き揚げていたが、それを知らなかった恵先さんは47年3月8日ごろ、家族を捜しに台湾北部・基隆に行き、事件に巻き込まれた。

 行政院(内閣)が事件被害者救済のために設けた組織である「基金会」は、関係者の証言などから、恵先さんを事件の犠牲者と認定した。だが、管轄の内政部(内政省)は、元日本兵の台湾人や台湾人元慰安婦に対する日本政府の補償が不十分なことなどから、「対等の原則に基づくべきだ」として賠償を認めなかった。

 このため、青山さんは昨年9月、基金会を相手取って提訴。高等法院は事件への賠償を定めた特別条例に対等原則は適用されず、外国人への支払いを認めない条文はない、などとして規定額の支払いを命じた。

 台北で会見した青山さんは「人権と正義を高々とうたいあげる画期的な判決」と評価。基金会に控訴しないよう求めた。訴訟を支援した台湾人権促進会の廖福特・執行委員は「非常に有意義な判決。台湾は過去の過ちに向き合うことができた。日本もできるはずだ」と述べ、日本政府に台湾人関係者への戦後補償に取り組むよう求めた。(台北=鵜飼啓

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 2・28事件 台湾で1947年2月28日、ヤミたばこ密売取り締まりを機に住民の抗議が全島に広がり、国民党政権が徹底的に弾圧した。死者は1・8万~2・8万人に上るとされる。青山恵昭さんによると、犠牲になったと見られる日本人は恵先さん以外に少なくとも3人いるが、証拠が少なく、基金会の犠牲者認定は受けていないという。

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