【動画】空から見る大井川鉄道
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 週末の昼下がり。行き止まり式のホームに、煙を吐きながら1940年製造の蒸気機関車、C11型190号機が客車を従えて悠然と入ってきた。

 大井川鉄道の千頭(せんず)駅はSL列車の折り返し点。南アルプスにつながる静岡県川根本町の谷あいにある。普段は静かな山里の駅も、SL列車が着くと、降り立った乗客でつかの間のにぎわいが生まれる。

 「楽しかった。音がすごかった」

 母親や祖母ら3世代で乗車した名古屋市の川瀬太心(たいしん)君(6)は声を弾ませた。愛知県豊橋市の森光宏さん(41)は何度も来ているリピーター。乗務員の帽子をかぶった息子の悠真(はるま)ちゃん(2)をSLの運転席に座らせて記念撮影をした。「週末の定番目的地。でも運転席は初めて。感激しました」

 大井川本線でSL列車を復活させてから今年で40年。首都圏や中京圏から観光客を集めるローカル私鉄の昔は、違う姿だった。

 大井川流域は戦前からダムや水力発電所の建設が続いた。現在の大井川本線が国鉄(現JR)東海道線の金谷から千頭まで全通したのは1931(昭和6)年。ダム建設の資材や、林業が盛んだった沿線からの木材の輸送で、戦後も栄えた。

 川根本町まちづくり観光協会会長の望月孝之さん(70)は、60年代前半までの千頭を「木材が集積する一大基地。駅に降り立つと木のにおいがした」と振り返る。広大な旧御料林や南アルプスの原生林から大量の木材が集まり、貨車に積まれて下流へ向かった。「山あいの集落を回る行商や南アルプスを目指す登山客も多かった」という。

 近くの営林署の職員だけで数百…

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