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■キャンプの素顔

 全くキャラクターが違う2人――。福岡に本拠地を置くプロ野球ソフトバンクの工藤公康監督と、サッカーJ1福岡の井原正巳監督のことだ。2人が顔を合わせたのを見て、その思いを強くした。

 2月上旬。両チームがともにキャンプを張っていたのは、宮崎市内の生目(いきめ)の杜(もり)運動公園内。ソフトバンクが練習する球場と福岡がトレーニングを積んでいた陸上競技場は、徒歩10分ほどの距離しかない。ある一日のこと。ソフトバンクの練習中に井原監督が、工藤監督のもとを訪れた。

 プロ野球とサッカーの監督。接点がないように思えるが、昨季まで取材していた広島でも交流はあった。例えば、J1サンフレッチェ広島の森保一監督は今年初め、広島東洋カープの事務所にあいさつに訪れている。一方カープの緒方孝市監督は、昨年J1を制したサンフレッチェに刺激を受けたことを明かし、今年のキャンプに臨んでいる。

 井原監督が足を運んだ目的は、両チームのエール交換。グラウンドで待っていた52歳の工藤監督は、J1開幕に向けて「全部勝って欲しい」と元気よく明るく激励。今季から5季ぶりにJ1に復帰するチームを率いる48歳の井原監督は「ちょっと厳しいですけど」と謙虚に対応した。

 選手時代も輝かしい実績を残した2人だが、特に共通点はない。違う競技のチームを指揮しているのだから、その指導方法も異なって当然。でもこの2月、両チームを取材し、どうしても、両者のチームづくりの違いに目がいった。

 工藤監督はコーチ陣に任せているようで、若手選手に結構声をかける。「まだ投げるか」「今日は特打か」。ポンポンと短い言葉でコミュニケーションを図り、刺激を与えているようにも見えた。井原監督が大事にするのは「輪」か。選手に大きな声を出すことなどない。敗れた練習試合の後でも、大きな感情の起伏を示さない。目の前の結果だけで雰囲気が乱れることを嫌い、結束を図っているようにも感じた。

 さて、3年連続の日本一を目指すソフトバンクと、まずはJ1残留が最低限の目標となる福岡。両チームは今季を終えたとき、どんなチームに変わっているのか。個性も選手への接し方も異なる両監督が見せる手腕にも注目したい。(堤之剛)

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