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 ニューヨークに暮らす4人の女性を描き、世界中の女性から熱く支持された米国のドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)」で、弁護士のミランダを演じたシンシア・ニクソン。主演を務める新作映画「A Quiet Passion」が、現在開催中のベルリン国際映画祭で公開されました。

 映画は、19世紀の米国の伝説の詩人、エミリー・ディキンソンの生涯を描いています。エミリーは裕福な家庭に生まれ育ち、最高水準の教育を受けますが、次第に家に閉じこもりがちに。エミリーの死後発見された多くの詩は、今も高く評価されています。公式記者会見でテレンス・デイビス監督は「映画を通じて、忘れ去られつつあるエミリーの存在に光を当てたかった」と語りました。

 シンシアは役について「エミリーは気難しくて引きこもりのイメージがあるけど、彼女が残したたくさんの手紙や詩をみると、人間に限らず『いつも何かとつながっていたい』と心から求めていた人だと思いました」と語りました。会場からの「もし今の時代にエミリーが生きていたら」という質問に対しては、「きっと一日中ツイッターやメールをやって、常に誰かとの関わりを求めているんじゃないかしら」と返し、笑いを誘っていました。

 シンシアは同性愛を公表し、2012年に同性婚をしました。会見ではパートナーの妻へのおのろけもチラリ。「私は(米国の女優ジュリー・ハリスがエミリーを演じた)ドラマ『The Belle of Amherst』をみて育ちました。だからジュリーが演じたエミリー像に大いに影響を受けていたんです。でも私の妻と一緒にそのドラマをみたとき、妻が『なんなのこの頭のおかしい女は』とけなしてくれて。おかげで自分の中の固定されたイメージから吹っ切れました」

 シンシアはブロードウェーを始め数多くの舞台にも立ち、トニー賞も受賞。最近では舞台演出も手がけています。「映画監督に興味はないですか」という質問に対し、「今のところは無理ですね」と答えました。かつて著名な演出家の故マイク・ニコルズから「演出はセックスに似ている」と言われたとも明かしました。そのこころは……。「各自ベストを尽くすけど、ほかの人がどうしているかは知らない」だとか。会場は爆笑です。

 「だけど私は女優だから、ほかの映画監督がどうやっているかは知ってる。だから演出の技を盗めるのかしら」とシンシア。シンシアの発言は始終ウィットに富み、その場にいた記者たちはまるで昼下がりのマンハッタンのカフェで、SATCの4人組の会話を聞いているような至福の時間を味わえました。(ベルリン=伊藤恵里奈)