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 米国はいま、空前の地ビールブームに沸いている。醸造業者の数は140年前のピークを超え、販売額も急伸する。地域に根ざした小さな業者がつくる独特の香りや味わいが、大手のビールでは物足りない人々を引きつけている。大手メーカーは危機感を強め、買収に動き始めた。

■販売額10年で4.4倍

 地ビール業者「ヘルムズ・ブルーイング」は、マットレス店などが並ぶガレージのような建物の奥にある。映画「トップガン」の舞台となった、米南西部サンディエゴの海兵隊ミラマー航空基地近くにあり、広々とした倉庫のような室内に醸造用のタンクが並ぶ。

 平日の午後に訪ねると、醸造所を兼ねたバーで、10人ほどの客がビールグラスを片手に談笑していた。会計士のダン・コラムさん(39)は「大手のビールはほとんど味がしない。濃いめのダークビールが気に入っている」と話した。

 マネジャーのマット・ジョンソンさん(30)は2012年、造船所で働きながら自宅でビールづくりをしていた父らと、地ビール会社を始めた。醸造設備は自作で、初期投資は平均の約半分の50万ドル(約5700万円)。サンプルをかばんに入れて持ち歩き、地元のバーや飲食店を回った。売り上げは3年間で、約2倍の28万ドル(約3200万円)に増えた。今年は海沿いにレストランも開く予定だ。ジョンソンさんは「バーや酒屋と関係をつくるのが大変だった。でも、まわりの地ビール業者がとても協力的で、聞けば何でも教えてくれた」という。

 米国の地ビールの醸造所の数は、米国醸造家協会によると、15年11月で4144。禁酒法時代前の1873年のピークの4131を上回り、過去最多だ。販売額は2014年に196億ドル(約2兆2千億円)で、10年前の4・4倍に増えた。ビール全体の生産量に占めるシェアは11%にのぼる。ホップの風味が強く、琥珀(こはく)色の「インディア・ペール・エール(IPA)」など種類が豊富なのが特徴で、業界は「20年までにシェア20%」をめざす。

 ここサンディエゴは、1990年代から地ビールメーカーが増え、醸造所は120社を超える。工業団地を車で進むと、巨大な赤いタンクがそびえる、地ビール業者「バラストポイント」の工場兼レストランが現れる。平日にもかかわらず、昼食時は広いレストランは混雑していた。

 価格は、高いものでボトル6本入りで約15ドル(約1700円)と、大手メーカーの倍ほど。それでも、マンゴーやグレープフルーツなど様々な材料を使った約70種類の商品が好評だ。昨年の売り上げは、前年の2倍の1億ドル(113億円)を超えた。

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