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■特集(就活面接の裏側)

 見た目でNG! 就活の場面でそんな判断をされないよう、気にしておくべきことは何なのか? 京王百貨店で人事担当の田中正昭・統括マネージャー(40)に聞いてみました。でも、田中さんはこうも言います。「大切なのは普段通りの自分であること」。どういうことでしょうか。

■面接でのマニキュア、ピアスはNG!?

 ――見た目でダメな学生と判断されないために気をつけておくべきことはありますか

 「どの業界でも清潔感ある身だしなみは大切。とりわけ百貨店という仕事がらネクタイやスーツなどオシャレ度に目がいきますが、ファッション感度は絶対的な選考基準ではありません。要するに、寝ぐせで頭がぼさぼさだったというようなことがなければいい。不快感を与えない、こぎれいさがあればいい。実際、『このファッションセンスは……』という学生だって採用しています。別の光る個性があったからです」

 「言葉遣いにしても、尊敬語や謙譲語が正しく使えることは大切ですが、もっと大切なのは自分の意見を丁寧に伝えようとする姿勢です」

 ――マニキュアを塗ったり、ピアスをつけたりしたままで面接にのぞんでも大丈夫ですか?

 「なぜそうするのか説明できればいいのですが、お客様よりも華美にしないことが販売員の身だしなみといった観念がありますから、当社がどういう会社なのかを考えれば、面接で派手なマニュキュアやピアスという選択はあまりおすすめしません。面接にのぞむ学生が、いま置かれた状況を読めるかどうかをこちらは見ています。状況を判断して的確に対応できるかどうかです。見た目ではありません」

■面接でも状況判断が大切

 ――どういうことですか

 「例えば面接の際、学生は自分を一生懸命伝えようとするあまり、独りよがりになっていることがあります。こちらの質問に対して的確に応答できるかどうかはきちんと見ています。また、集団面接では、ほかの学生たちはライバルですが、彼らを気遣うことなしに、限られた時間の多くを一人で使ってしまうケースがあります。ほかの学生にも公平にチャンスが与えられるべきだし、自分がよければいいということではないはずです。我々の業界では、お客様が何を期待しているかについて理解を示し、対応していくことが大切です。その状況判断ができないようでは接客業は難しい。接客はお客様の表情やしぐさを感じ取り、臨機応変であることです。一方的になってはいけないのです」

 ――ほかには何が大切ですか?

 「やはり熱意です。この会社に入りたい、こういう仕事がしたいということを伝えて欲しい。そうした熱意や自分の価値観と、我々の価値観がマッチするかどうかを見ています。面接はその人の能力の有無を見極めるものではありません。そもそも潜在的な能力は、学生のあいだで大きな差はありません。経験値だってそれほど変わらない。これまでの生活や経験で培われた価値観や考え方、熱意が、我々の価値観、我々の事業とマッチしているかが重要だと思っています。それがマッチしていなければ、入社して苦しむかもしれないし、会社もいい方向にいかない。そこを見ているのです」

■百貨店は小さな喜びを日々届けるしごと

 ――百貨店をはじめとする小売業のやりがいとは何ですか

 「小売業に限ったことではありませんが、仕事は一人ではできない。一緒に働く仲間と力をあわせていく。みんなで事業をなしとげていく気持ちはとても大切です。さらに言えば、変化がとっても激しい業界です。時代の変化、ライフタイル、四季、天候も違う。毎年、毎日、新しいチャレンジが必要です。だからこそ、得られるものや、成長の糧はたくさんみつけることができる。私もそれを求めて百貨店業界に入ろうと思いました」

 「百貨店は喜びを届ける仕事です。世の中を大きく動かすとは言いませんが、文化的な面では世の中を動かすこともできます。それ以上に、一つひとつは小さいかもしれませんが日々たくさんの幸せや喜びをお客様に提供でき、それを実感できる仕事です」

 ――ご自身はどんな就活だったのですか

 「1999年の入社です。バブルはすでに崩壊し、山一証券につづいて日本長期信用銀行も破綻(はたん)。就活は厳しい。そんな時代で、業界や会社の将来性がどうかというよりも、力が身につけられる会社に入りたいと思っていました。そういう意味で、百貨店は日々変化があり、目の前にお客様がいて、よくもわるくも結果がはっきりわかる。自分で考え、自分の力が試される。そんな風に考えていました。また、部活を一生懸命してきたことから、つらい思いをしながらもみんなで喜びや経験を分かち合うというのが自分の価値観だった。百貨店にあうのではないかと考えました」

■自分らしく面接にのぞんで得られた結果が最良

 ――就活にのぞむ学生に対してアドバイスをお願いします。

 「面接では何かすごいことを言わないといけないなどと背伸びをしなくてもいい。経験した中身のすごさを期待しているわけではありません。むしろ、普段の行動、その人の本質を理解したいのです。自分にとって大変だったこと、楽しかったことは人それぞれ。そのなかで何を考えて、どう行動したか、どんなことにやりがいを感じるか、採用する側はそれが知りたいのです。どこの企業も一緒だと思います。その行動も、正解があるものではない。自分の価値観や方向性が企業とあっているかどうかを考えてほしい」

 「就活中のゴールは内定なのかもしれませんが、実際はそれがはじまり。誰もが知っている大手企業に入ってもすぐに辞めてしまうケースもあるし、逆に、無名の小さな会社に入っても大きなやりがいを持って幸せに働ける場合もある。自分の本質を見失わずに、普段通りの自分でのぞんで欲しい。どういう格好でなければいけないかは小さなこと。自分らしくのぞんで、内定が得られれば、その会社が自分にとっていい会社なのだと思います」(海東英雄)