【動画】菊池恵楓園の絵画クラブの会員が描いた作品のデジタル化について話す吉山安彦さん=籏智広太撮影
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 ハンセン病の国立療養所菊池恵楓園(熊本県合志市)で、入所者が60年余り前から描いてきた絵画作品約430点をユネスコ世界記憶遺産に登録することをめざし、デジタル化する作業が3月から始まる。平均年齢84歳になった元患者たちの「生きた証し」を将来にわたって残そうと、記憶遺産の国内公募に応募する方針だ。

 菊池恵楓園には1953年発足の絵画クラブ「金陽会」があり、会員が毎週金曜日に集まって創作に励んだ。国の誤った隔離政策で入所を強いられた人たちが心を癒やす場だった。

 一時は15人以上いた会員も吉山安彦さん(87)だけになり、2003年から作品の展示会を企画してきた元熊本市現代美術館主任学芸員の蔵座江美さん(45)が「後世に残さなければ」と動いた。整理して保存に道筋をつけるねらいで、3月に作品の撮影を始める。作品は園内での展示のほか、世界中から鑑賞できるよう、インターネットでの公開も検討する。

 吉山さんは「仲間たちも喜ぶはず。いつか多くの人に絵を見てもらいたい」と期待する。蔵座さんは「隔離政策の中、表現することが生きる糧だった人たちの環境や思いをどこまで想像できるか。見る側の感受性が問われている作品ばかりで価値がある」と話す。

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