【動画】スポーツクライミングで世界に挑む大場美和さん=高岡佐也子撮影

 愛知県岡崎市の高校3年、大場美和さん(18)の練習場は、自宅にある。

 三方に高さ4メートル、最大160度の壁。白いチョーク(粉)を手のひらに付け、配置された色とりどりのホールド(突起)を見つめてから、黙々と登り始める。放課後、ジムに行かない日は、ここに約3時間こもる。

 大会で登れなかった配置を再現するため、電動ドライバーを使い、ホールドを付け直す。ホールドを渡り歩いて壁にはりついて約1時間、マットに降りずに持久力をつける練習もする。足を浮かせたまま、指先の力だけで上り下りを繰り返す反復練習の後、どさっとマットへ降りると、「地味ですよね」と笑った。

 9歳の頃、たまたま自宅にあった雑誌のクライミングの記事に釘付けになった。名古屋のジムで体験して、課題をクリアしていく達成感のとりこに。打ち込んできた器械体操が腰の故障で続けられなくなり、目標を失っていた時期とも重なった。付き添っていた母留美さん(46)は「壁から引き離すのが大変でした」と振り返る。当時はジムが遠く、2010年、父健一郎さん(46)が「いつでも練習できるように」と造ったのが、自宅の中庭を改装した練習場だ。

 足は、勢いでホールドにぶつかる時などにできるあざだらけ。指の節は太く、ごつごつとした手にも切り傷が絶えない。「大会中に出血した時は、瞬間接着剤で止めることもあります」と笑う。たくましい腕や広い肩幅は、ちょっとした悩みだ。「服を選ぶのが大変。肩があまり目立たない服を探します」。デザインが気に入れば、男性用を選ぶこともある。

 器械体操で培った柔軟性とバランス感覚を武器に、手足を目いっぱい広げて登る。昨年のアジアユース選手権世代別では、登った壁の数を競うボルダリングと、高さを競うリードの2種目で優勝。遅刻しそうになった高校生が制服姿で校舎の壁をよじ登るという設定のネットCMに出演して話題になった。中学生の頃から用品提供のスポンサーがつき、今年1月、海外遠征などの費用を支援するスポンサーもついた。

 ただ、年齢制限のない大会では…

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