【動画】医学部4年生でタレントの早田悠里子さんから受験生へ=瀬戸口翼撮影

 国公立大学の2次試験が始まり、大学受験シーズンは大詰めです。多くの受験生にとって、大学受験は将来の職業を考える上で人生で初の大きな選択です。その中でも難関の医学部は医師になるために突破しなければならない高い壁。現役医学部生でタレントの早田悠里子さん(23)は現在4年生で病院実習に励んでいます。一浪を経ての合格の陰には、両親の温かいまなざしがありました。

     ◇

 医師になるという夢を、幼い頃から漠然と抱いていました。でも、高校生活は一度きり。中学時代は勉強ばかりしていたので、高校では「今しかできないことを思い切りやりたい」と、高3の体育祭でチアをやったのが一番の思い出です。

 福岡の県立共学校でした。進学校でしたが自由な校風で、秋の体育祭は全校あげて盛り上がる。チアになるにもオーディションがあるくらいですよ。高3の夏休みは朝からチアの練習漬けで、受験勉強は午後6時くらいから塾に行ったくらい。そのときは「勉強はいつでもできる。体育祭はあと1回しかない。大人になったときどっちが後悔するだろうか」って。高校生活に夢中でしたね。

 体育祭の最後、グラウンドで全校生徒1200人で応援歌を歌うんです。晴れやかな気持ちで歌い終わって、最後にバァーと1200人の拍手が高く鳴り響いたとき、応援団長が涙ぐんでいるのが見えちゃって。感動して背中がビリビリーってなりました。

 そんな風に高校時代を満喫したので、現役で医学部には合格できませんでした。医学部って二浪三浪も珍しくないですけど、「絶対に1年で合格してみせる」と、意気込んで浪人スタート。でも、思うように成績が伸びなかったんですよね。

■「医者にならなくても……」父の言葉

 医師を志したのは医師である父の影響です。ちょっとファザコンなところがあって、幼いころ、病院に遊びに行ったときに見る父の姿に憧れました。進路を考える際に、自分も父のようになりたいという気持ちが明確になりました。

 浪人中は自宅のリビングで勉強することが多かったです。別に両親に監視されていたわけじゃありません。というより、勉強に関しては何も言われなかった。父は毎晩帰宅すると「お、今日もやっているな」と声を掛けるくらい。成績のことを気にしている様子もなかった。

 でも、思うように伸びていないことは伝わるのでしょうね。ある日、父に「別に医者にならなくてもいいんだからな。医学部受験をやめたっていいし。自分のやりたいことをやりなさい」と言われたんです。これは効きました。安心した。どこかでプレッシャーがあったのかな。気持ちの浮上とともに、成績も少しずつ伸びていきました。

■赤本買いあさって問題研究

 それでも医学部合格はまだまだ遠かった。それで何をしたかというと、徹底的な試験問題の研究です。本屋で医学部の赤本を手当たり次第買ってきました。本屋になければネットで注文。自分と最も相性がいい試験問題・科目・配点はどこの医学部かを研究して、志望校を都内の三つに絞りました。秋から冬は、もう志望校に向けて全力です。お風呂場に英単語を貼って、食事中も勉強しました。1分でも惜しかった。終わったら1日何もしないで過ごしたいな、と心から思いました。

 それでも確実な合格圏には届かなくて、試験本番の手応えは「五分五分かな」くらい。それから毎朝、合格通知が来ていないか郵便受けを見に行きました。大学名が書かれたずしりと重い封筒が入っていたのを見たときは、あんまり記憶がありません。わーっと玄関まで走っていって、両親と抱き合いました。母が泣いてくれて、私も涙が止まらなくて。人生で一番感動しました。体育祭のときの感動も残っていますけど、合格の時が一番ですね。

■今も、今しかできないことを

 2年前にスカウトされてタレント活動をしています。学業優先なので、ほんの少しだけです。医学生は想像していたよりもはるかに勉強が大変でした。試験前ともなれば2カ月くらい受験生並みに勉強します。女子大生らしい華やかなことをやる時間はありません。なので芸能のお仕事は、医学部以外の世界を見たかったというか、医学生は6年課程で、社会に出るのが少し遅いですし、別の世界を知るチャンスだと思ってやらせていただいています。高校時代と同様、今しかできないことですしね。

 父からは芸能活動のことを反対されるかと心配でした。でも、相変わらず「自分の好きなことをやればいいよ」としか言わなかった。頑張れなんて直接言われたことはないけど、「好きなことをやればいいよ」という言葉には、そっと見守ってくれているという安心感があります。早く一人前の医師になって、父を安心させてあげたいですね。(聞き手・佐々木洋輔)

     ◇

 はやた・ゆりこ 帝京大学医学部4年生。タレント。1992年生まれ、福岡県宗像市出身、福岡県立福岡高校卒。医学部に通う傍ら、シェアハウスで同居する若い男女6人の恋愛模様などを追ったフジテレビ系番組「テラスハウス」に出演した。23歳