[PR]

 エジプトのシーシ大統領は今月末の初訪日を前に23日、大統領府で朝日新聞との単独会見に応じた。主なやりとりは以下の通り。

 ――シリアなど各地が過激主義やテロの脅威にさらされている。エジプトにとって最大の敵は何か。

 エジプトだけでなく全ての人類にとって過激なイデオロギーとテロリズムが脅威となっている。20年前の世界におけるテロリズムの地図を現在と比較してみて下さい。いま、我々ははるかに大きな苦しみを抱えている。被害は人類だけではなく、物質的なものもある。コミュニティーが破壊され、心理的にもダメージを与えている。我々は一丸となって危機に立ち向かうことが必要だ。単に治安面、軍事面だけでなく、経済、教育、文化、政治、宗教などあらゆる面で安定化に向けた努力を続けることが必要だ。

 ――「イスラム国」(IS)は軍事力で倒せるか。サウジアラビアやアラブ首長国連邦は地上軍を派遣する用意があると言っている。エジプトはどういう方針か。将来、地上軍を派遣することはありうるのか。

 シリア問題の対応について言えば、包括的な戦略について関係国間の合意がある。その戦略が達成可能で効果的なものになるようにあらゆる選択肢を検討すべきだ。我々の目的は、効果的なやり方で立ち向かうことだ。テロの問題はシリアにとどまらない。エジプトにとっても西側の国境を接するリビアのほか、(東部の)シナイ半島で過激派が活発化している。リビアのほかにも、ナイジェリア、ソマリア、イエメン、アフガニスタンにもある。なぜ我々は、この問題を「人類にとって最大の危機」だとみているか。これは国家や地域の問題ではなく、世界全体の問題だからだ。あらゆる国が平和に向けて確固たる立場を取る必要がある。市民の福祉や安全のために軍事面だけでなく必要な方策をすべてとらねばならない。

 ――今後ISがエジプトやイスラエルを標的にすることがあるか?

 もう一度、20年前と今のテロ、過激派が勃発している地図を見比べてほしい。バルカン半島はどうなったか?今では別の場所で火の手が上がっている。これを早急に消さねば、テロの火は我々を焼き尽くすだろう。イラク・シリアでISに対する有志連合の軍事作戦が始まって1年以上経つが成果は出ていない。昨日もアレッポやダマスカスで爆発が起きて、180人以上が死亡した。

過激派の問題はシリア・イラクだけの問題ではない。彼らは、我々全員を攻撃対象にしている。エジプト、イスラエル、ヨルダン、サウジアラビア、リビアも視野に入れている。特にリビアは(テロ拡散の)契機となりうる。リビアが崩壊すれば過激派の動きはチュニジア、アルジェリア、エジプトなど周辺国にとどまらず、ヨーロッパなど域外にも広がるだろう。こうした国々の状況を安定させなければ、我々は大きな代償を払うことになる。代償は金銭的なものにとどまらず、人的な犠牲を伴う。国同士の争いを解決するのは、政府間のものなので、計算できるが、テロ組織には当てはまらない。